鳥谷家

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鳥谷家

ーーーー 歪みの集大成とも呼べる部屋で 僕は一人白んだ空を眺めながら黄昏ていた… 今頃になり、改めて自分がしでかした事の大きさを噛み締める 期待を裏切ってごめん…父さん 未来の約束、守れそうになくてごめん…佳純 そうだ… …佳純…出るかな ふと思い立ち携帯を手に取り、僕は佳純に電話を掛ける だけど佳純は出なかった まだ寝てるのかな… 仕方ない、明日会って謝ろう… 起こったこと全て話して…先の事を話し合わなきゃな 恐らく、もうウェルズに就くことは出来ないだろう それどころか、ウェルズの名に傷を付けてしまうな そうなったら…あの兄はどうするかな 少しは焦った顔をするのかな 怒り狂って僕を殺しにくるかも… 春宮さん… 卑怯かと思われるかもしれませんが 僕には僕で、背負っているものがあります だから自首はしません… きっと貴方に許されたら僕はこの先ものうのうと生き続けるでしょう どうか貴方の手で 僕を断罪して下さい…… 人の事をとやかく言えないな 僕も鳥谷という巨大な箱庭の中で動かされ続ける駒に過ぎないんだから 嗚呼… もう今は何も考えたくない とにかくもう一眠りしよう そのまま僕は寝室へ向かい ゆっくりベッドに倒れ込み 絡みつく思考を捨て去り、途方もない夢の中へと沈んでゆくーー
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