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「あ、はい!大丈夫です!」
食い気味に答える私にお兄さんは続けた
「では今週日曜、六本木グランドハーツホテルのフロントに正午12時に来られるかな?」
「大丈夫です!行けます」
私は即答した
「そうか。では楽しみに待ってるよ」
そう言って一方的に電話を切られる
何だか…翔介さんとは真逆な人だな
…私の勝手な憶測でしかないけど
きっと翔介さんの歪みには
お兄さんが多分に関係しているのだと感じていた
以前、家が窮屈に感じると言っていたのも恐らくそういう事なんだろうな…
私もああいうお兄さんだったら離れたくなるだろうし…
携帯の履歴に映る翔介さんの名前を見て私はまた衝動に駆られた
会いたい…
一声でいいから…声が聞きたいよ…
寂しい想いを洗い流す為に、私は風呂へと体を動かした
それにしても…
ホテルでランチなんてやっぱり大企業のトップは一般人とは違うなぁ
「服…ちゃんとしたの着なきゃ…」
脱ぎ捨てた自分の服を見てそんな事を思う
……後にーー
私はすぐに思い知ることになる
楽観的に考えていた自分の愚かさと
そして、お兄さんがその場所を指定した意味をーーー
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