堕ちる

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ーーー正午 六本木グランドハーツホテル こ…ここ…!? 聳え立つ超高級ホテルを前に、私は足が竦んでいた お兄さん…こんな場所指定してきたの??間違えて無いかな… 一応、自分なりに小綺麗な格好はしてきたけど 場違い感が凄いよ…… 私はまるでコソ泥のようにホテルの中へと入る 「すっごい…!」 入ってすぐにだだっ広いロビーの綺麗さに圧倒された 私はキョロキョロと周りを見渡しながら、ゆっくりとフロントへと向かった 「おはよう。来てくれてありがとう」 「あ!おはようございます!お待たせしてすみません」 フロント前には既にスーツ姿をしたお兄さんが立っていた やっぱり翔介さんのお兄さんだけあって…かっこいいなぁ 目つきは全然違うけど顔自体は似てる気がする 「先日は色々失礼したね。さ、行こうか」 「あの、今日は食事を…するんですよね?」 「ああ。まあついてきてもらえるかな」 …怖いよ 有無を言わさぬお兄さんに先導され、黙ってエレベーターに乗る エレベーターは高速で上がり、かなり高い所で止まった 降りてすぐに大きな扉があり、私は凄く嫌な予感がした ここはどう見ても   お店じゃない…!! 「どうぞ」 お兄さんは扉を開け、私に入るよう促す …予感は的中した 「立食パーティですか…?これ…」 中には正装をした男女がざっと見て数十人はいた 幾つもの丸テーブルと前方に整然と並ぶ料理 その規模はドラマや漫画で観たものを更に凌いでいた 完全に…場違いだ… 私は言葉が出てこなかった 「驚かせてすまない。普通にお店に入るんじゃなく、こういうのも楽しいかなと思ったんだが」 「は、はぁ」 ついよくわからない生返事をしてしまう 「とにかく楽しんでくれ給え」 「えっと…私、お兄さんとお話がしたいんですが」 「ああ。それは料理を楽しんでからでいいだろう?」 「…わかりました」 考えていても仕方ないので、思考を紛らす為に私は皿を持って料理を取りに行くことにした あれ? あの人… 「え……?」 「え…???」 「…何で佳純が…ここに?」 嘘…何で? 私…夢見てるの? 目の前にいたのは 私が世界一愛する人… 会いたくて堪らなかった人だった 「……翔介さん………」
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