堕ちる

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それから私は、迫り来る開発展に向け出来る限りの事をしていった 普通の業務と並行していかなければいけなかったので疲労は倍だったけど、ゴールが見えると頑張ることが出来た だけど… 連日徹夜してるせいか…朝から眠気がヤバい… ちょっとコーヒーでも買ってこよう ーーーー 「あっ」 「おっ、最近頑張ってんね。根詰めすぎたら駄目だよ?」 「お疲れ様です」 自販機の前で何を買うか悩んでる私に後ろから声をかけて来たのは、企画部で一番人が良いと有名な本間さんだった 本間さんは確か…月島さんの指導係だった人だ 「花井みたいな頑張り屋さんは今時珍しいね。皆定時になることばっかり考えてるのに」 「私も…ちょっと前まではそうでした」 「いやそれが悪いわけじゃないんだけどね!仕事のモチベーションなんてそれぞれだしさ」 そう言いながら本間さんは自販機にお金を入れて指を差す 「どうぞ」 「あっ、ありがとうございます。いただきます」 私は素直に甘える事にしてボタンを押した 「俺もたまにサボってるしね」 「えっ?」 「はは、誰だって全力で走ってたら息切れしちゃうだろ?たまには休んでもいいんだよ」 「そう…ですよね」 「てなわけで、あまり無理しないようにね」 「はい!ありがとうございました!」 立ち去る本間さんの姿を見て、私は嬉しくなった 私みたいなのでも見てくれてる人はいたんだーー 頑張れば、きっと皆認めてくれるよね… 私は私なりに出来る事をやるんだ! 奮起したものの、先程言われた事を思い返し休憩所の椅子に座り一息つく ………明日は春宮さんに会う日か… それにしてもなんであんな人が、私なんかと親しくなりたいんだろう 普通の庶民の生活っていうのに憧れてるとか…? ーーーあるわけないか まあ…出来る限り綺麗な格好をしていこう 恥ずかしくないように… 休憩を終えデスクに戻ると、真剣な眼差しでパソコンと向き合う菜穂が見えた …私が菜穂なら、そんな事に悩む必要もないんだろうな もうまともに話さなくなって二週間か…… 普通に笑いながら話し合ってたのが遠い昔の事みたい 翔介さんにも全然返事してないや… 二人の事がこんなに好きなのに…私がそのバランスを崩したせいで…こんなふうになっちゃんたんだ …開発展が終わったら二人に謝ろう。そして また前みたいに戻れるといいなーーー
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