堕ちる

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ーーー翌朝 気がつくと、私はベッドの中だった 「…やばい」 昨日帰宅して…夕飯すら食べずに化粧も落とさず風呂も入らずに寝てしまっていた かれこれ13.4時間程眠っていたのに、瞼が重い… こんな月曜日の朝はどうしようもなく仕事を休みたくなる だけど…もう開発展までは二週間を切ってる まだやることは山盛りだ… 行かないと… とりあえず、身体をベッドから放り出し顔を洗った 朝ご飯食べる時間はないか… 軽く化粧をして着替えを済まし家を出た 電車の中でも、なるべく仕事のこと以外は考えないようにした 集中していないと全部無駄になってしまう そうだ、今はやるべきことを全部終わらせよう… 全部無事に終わらせて…翔介さんの胸に飛び込んでーー 全部洗い流すんだ このグチャグチャになった思い全部を… そして…生まれ変わるんだ あなたに釣り合うと、そう心から思える自分にーーー ーーーー 「おはようございます」 職場に着いた私はいつものようにデスクに向かい皆に挨拶をする が、何処か異様な空気だった …なんか皆…私を見てる 「あ、あの…どうしました?」 隣のデスクの岡本さんに尋ねてみると、岡本さんは課長のデスクの方を見た 私が目を向けると同時に、オフィス中に怒声が響いた 「ふざけんじゃねえ!!!」 …えっ!? 怒鳴っていたのは、月島さんだった 今…課長に向かってふざけんじゃねえって言った…? 「…もう決定した事だ!」 「…わかんねえ人だな!!あいつの気持ちはどうなるんすか!!」 「それは…本当に申し訳ないと思っているが…」 「なんでそんな事が出来るんだよ…マジ……で…」 手で頭を抱えながら、ゆっくりと横を向いた月島さんと目が合ってしまう 「…花井」 驚いたような、悲しんでるような表情で月島さんは私を見た 「おはようございます。どうしたんですか?エレベーターまで響いてましたよ?」 私の後ろからそう言ったのは、今来たばかりの菜穂だった 「…二人とも、少しいいか?」 課長のその言葉に、私は嫌な予感がした そして久しぶりに、菜穂と目が合った お互いにその目を、逸らせなかった もしかしたら私達は悟っていたのかも知れない あの時の小さなヒビが… 私達の世界を、粉々にしてしまうことを
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