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「実は、うちが懇意にしてもらっているフェルモの社長の東さんがうちが出展する際のスポンサーでな…その人が風見を名指しにしてきたんだ」
「断ってくれたら良かったじゃないすか。言い様はいくらでも合ったでしょう」
月島さんの言う通りだ。何故断ってくれなかったのか
「この件は上層部でもきちんと話し合ったし…
花井には本当にすまないと思っているんだが…その」
課長は口籠もり、濁しながら言い放った
「…開発展に於いては容姿的な面もかなり重要だから…その点を鑑みても風見の方が適任だと多方から声が上がったんだ…」
…
ーーー容姿?
…目の前が、真っ暗になった
「あんたなぁ…言って良い事と悪い事があんのわかんねえのか!?」
「いい加減にして下さい!!私やりませんから!」
「もう決定した事だ!」
「勝手に決めといて何言ってんだ!!」
「開発展は社運が懸かった一大プロジェクトなんだ!ならばより成功率をあげるよう努めるのが我々の責務だろ!!」
「ならもっと早く言ってれば良かっただろ!!今更過ぎだろうが!」
「ちなみに風見!もしこれを断り利益に損害が出た場合最悪減給もありえると思っておいた方がいいぞ」
「…何それ。脅迫ですか?」
「このヤロ…ッ!!」
「落ち着け月島!やめろ!」
「離せ!!一発殴らねえと気が済まねえ!!」
「いい加減にしろ月島!!公私混同してるんじゃない!!」
「てめえマジふざけんなよ!!」
「月島、ちょっと落ち着けって!!」
過熱する月島さんと菜穂、それを制止する本間さんや周りの社員達
騒然とするオフィス内で
私の世界は無音だった
もう…
何もかも…
どうでも良いよ
どれだけ頑張っても…
【ソコ】に立つ資格すら与えられないなら…
もう…いいや……
ーー全てが色褪せ
音も色も無い世界で
「パキンッ」
と、何かが壊れる音がしたんだ
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