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「あの!私気にしてませんので!大丈夫ですので!月島さん!落ち着いてください!」
騒然とするその場を収める為に、私は言った
「…花井」
「佳純…」
「菜穂になら安心して任せられるよ。よろしくね」
笑顔の私に、菜穂の顔は強張っていた
「…佳純、私」
「課長、今日から通常業務に戻りますね」
「あ、ああ…すまないな」
「いえ」
そうだ
感情は心の奥底に沈めてしまえばいい
自分を殺して生きるんだ
憎しみも怒りも全て押し殺して
私はやるべき事をやる
「ちょっと待ってくれ花井…」
「月島さん、本当にありがとうございます。仕方ありませんよ。寧ろ代わりが菜穂で良かったです」
「っ…ほんとに…すまん…!」
月島さんは深く私に頭を下げ、その場から去った
去り際の顔は、これ以上ない程の怒りと悔しさに満ちていたと思う
「課長!私やりませんよ!!それで罰が与えられるというなら、クビにでもなんでもしてください!」
課長に食ってかかる菜穂
それを制止するように、私は菜穂の腕を掴んだ
「…駄目だよ菜穂」
そんな事したら、私が更に惨めになるだけでしょ?
「…頑張ってよ。私の分まで…ね?」
「佳純…」
「私の持ってる資料、役立つかわからないけど菜穂に渡すね。一応自分なりにわかりやすくまとめてるつもりだから」
「……本当に…いいの?」
「うん!」
「……わかった。じゃあ、佳純の分まで私頑張るから」
そう、私の分まで頑張ってよ
私はこれから、忙しくなるからさ……
色々とねーーー
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