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黒を基調にした清潔感のある広々とした風呂場の中、際立った色の白い浴槽
普通ならこんなにいいお風呂入れるはずも無いというのに
私の頭の中にはそんな考えは微塵も入っていなかった
考えられるわけがない
だって私…今から…
鏡で必死に自らの全身を見渡す
こんな身体で…ガッカリされたらどうしよう
そんな思いが過ったけど、それ以上に高鳴る胸の音が脳内で響き渡り思考を掻き消す
だけど私は今日決意してきたんだ
例え
全てを捨ててでも
翔介さんだけは、絶対に失わないとーー
だからその決意の区切りとして
このちっぽけな身体全部を
貴方に捧げたいと
せめて少しでもと、隅々まで身体を丁寧に洗い上げ、私は風呂を出て翔介さんが用意してくれていたバスローブを身に付けた
扉を開けると、少し目を丸くして翔介さんがこちらを見ていた
「…凄く綺麗なお風呂だね…初めて入ったよあんなお風呂」
「…そ、そうかな。じゃあーー僕も入るね」
そうぎこちなく彼が言う
「……うん」
「ドライヤーここに置いておくから、好きに使ってね」
「あ、ありがとう…」
風呂場へ向かう彼を見送ると、更に心臓の音が速まった
髪を乾かしながら、深呼吸する
でも…私、初めてだから…
翔介さん引かないかな…
うまく出来るかな
痛くないかな…
ーー様々な思考が頭を駆け巡り、不安が募る
だけど初めては、翔介さんがいいから
翔介さんとなら…もうどうなったっていい
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