天罰

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ーーーー ーーー翌朝 「…ん、んん」 「おはよう」 「えっ…あっ!?お、おはよ…」 寝ぼけ眼の私の前で微笑む翔介さんを見て、私の脳はまだ現実味に欠けていた これももしかすると夢なんじゃないだろうか… 「仕事何時から?」 そう問い掛けられた私は布団に潜り込んで少しだけ顔を覗かせ答えた 「…行きたくない」 「ハハ、サボっちゃうの?それもたまにはいいかもね」 「翔介さんもサボっちゃう?」 「うーん、今日はちょっと急ぎの仕事あるから行かないと」 「…じゃあ私も行きます」 「だね。じゃあ朝ご飯作るよ」 服を着ながらベッドから下り、翔介さんが言う 「あっ!私が…」 !!!! 起き上がろうとした瞬間、下腹部に激痛を感じた …なにこれ… 「…ごめんね…」 私の顔を覗き、申し訳無さそうに彼が言った 「…だ、大丈夫」 じゃないけど… 「仕事本当に休む?」 「ううん…行くよ」 やらなきゃいけない事もあるしねーー 「まあ朝ご飯出来るまでゆっくり準備してて」 「ありがとう…シャワー借りるね…」 厚かましくも勝手に風呂場へとヨタヨタと歩いて行く 痛い… でも…この痛みすら幸せに感じている自分がいる 私…ついに翔介さんと結ばれたんだ… 初めてが彼で良かった ベッドの中では、確かに彼の愛を感じられた 触れるたびに、彼の心の奥深くに入り込めた気がした ……なのに 私の頭からはあの真っ黒な扉の部屋がこびりついて離れない あの部屋に籠もっている、確かに翔介さんの大部分を占めている菜穂への妄執 どれだれ彼に愛され、抱かれたとしても… 10年にも渡るその想いの前じゃ私との数ヶ月なんて微々たるものだーー この愛を守り抜く為には 私を纏う全ての不安の種を取り除くしかないんだ
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