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「経理部の平井さんて知ってる?」
「いえ、全く知りません」
「知らないかー。その平井さんと課長がね、デキてるのよ」
え!?
「不倫してるんですか?」
私は小声で聞き返した
「結構有名なんだけどね、夜に外で見かけた人いるくらいだし」
これは思いもよらないビッグなニュースだ
確実に使える…
「相手の人は独身なんですか?」
「向こうは独身よ。一度婚約までしてた彼がいたらしいんだけど破棄になったらしいの…そっからは彼氏が出来ては別れてを繰り返してるそうだけど」
「…なんかやけに詳しいですね」
「だって昔企画部にいたからね」
「そうなんですか!?」
「一緒に働いてたのよ?まあ、異動の原因もそれじゃないかって皆は思ってるけどね」
「どんな人なんですか?平井さんって」
「あまりここじゃ好かれてなかったと思うわねぇ…私は嫌いじゃないけど」
「まあ俗に言う意識高い系女子ってやつ?プライドの塊のような子だったわね」
…なるほど。そういう感じの人か
私が一番苦手なタイプだ
今までの私ならだけど
そんなプライドの高い人が不倫をするなんて、課長はそれだけ魅力的って事なのかな
そうは見えないけど…
あ、そうか。口だけはうまそうだもんね課長
課長と平井さんの事を考えながらダラダラと仕事をこなしていると、すぐに昼のチャイムが鳴った
チャイムが鳴るや否や私は菜穂の元に駆け寄り話しかけた
「菜穂、お昼行こ!」
「うんっ!行こ!」
明るい顔でこちらを見る菜穂が懐っこい犬の様に見えてとても可愛かった
と同時に
そういう面を知れば知るほど
私はより焦燥に駆られるーーー
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