天罰

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それから、出てきたコーヒーを二人で飲みながら私達はお互いのことを簡潔に話し合った 「結構話したわね。こんな時間になっちゃったわ…花井さん。今日はありがとう…楽しかったわ、久しぶりに」 「私も楽しかったです。またこうしてお会いできませんか?」 「勿論!是非会いたいわ!明日はどう?」 「え?明日?」 なんだか好かれちゃったな 「明日はまだわからないので、仕事終わったら連絡します」 「そ、そう…待ってるわね」 翔介さんとの時間があまり削られるのは困るんだよね… 「はい!では平井さん、頑張って下さいね」 「ありがとう…頑張るわ」 そうして私達は店を出て別れた その足で私はスーパーで材料を買い、電車に乗り込み翔介さんの家まで行く ーーー 「お疲れ様」 「お疲れ様!遅くなってごめんね!」 家に着くなり、翔介さんは玄関で迎えてくれた 「すぐにご飯作るね!」 「大丈夫?疲れてない?それに…痛みも」 「大丈夫だよ!」 翔介さんに会ったら痛みも疲れも吹き飛んじゃったよ 「今日はあんかけ焼きそばにしようと思うんだけど、いいかな?」 「あんかけ焼きそば大好物だよ。嬉しいな」 「へへ、良かったぁ」 私は早速料理に取り掛かり、翔介さんはその間にテーブルやグラスの準備をしてくれる 「そういえば佳純に訊こうと思ってたんだけどさ」 「え?何?」 「お父さんの容態はどんな感じなのかな?最近もお見舞いは行ってる?」 …お父さん…最近会いに行ってないな でも…そんな事は言えない。親不孝な人間だと思われたくない 「んー、行ってるよー!結構よくなってるみたい。もうすぐ退院出来るかも」 多分… 「良かった。折を見てまた挨拶に行かせてもらってもいいかな?」 「えっ!?う、うん…!」 翔介さんは笑顔でそう言った それは…私との事、真剣に想ってくれてるって事だよね? ……ああ…嫌だな こんなに幸せな筈なのに… 移ろいゆく気持ちの中で、悠然とそびえ立つその標が 彼の存在意義だと言っても過言ではない、確固たる想いが 10年の月日に及んで建てられた歪んだ信念が 安息を得るには早いと 私に警告する でも待ってて…もうじき、私達は幸せになれるから…貴方の心を全て私に向けさせてみせるからーー
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