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「やはり、彼女は私と結婚するつもりのようだ」
翌日の昼休み
今日は菜穂とよく来るカフェで、課長は私の向かいの席に座り頭を抱えている
「平井さんがそう言ったんですか?」
「ああ…昨夜アプローチされてしまったよ。花井の言う通りとりあえず刺激はしないようにしたが…」
平井さんやっぱり言っちゃったんだ。我慢出来なかったんだな
「ねっ?言った通りでしょう?多分平井さんも最初は様子を伺ってるんですよ。時間と共に荒い手段をとるようになるかも知れません」
「そうならないように早く彼女を説得してくれないか?!昨日も本当に肝を冷やしたんだ…」
何をうろたえてるのか…
全て自分で撒いた種の癖に…
「今日彼女に会ってみます。私の言葉に耳を傾けてくれるかはわかりませんが」
「昨日は大丈夫そうに言っていたじゃないか!」
「彼女がこんなに直ぐにアプローチしてくるということはそれだけ熱が高まっている証拠です!そういう時に人の話を素直に聞く人はなかなかいませんよね」
「ま、まあそうだが…」
「私も出来るだけの努力はしてみます」
「た、たのむ…」
「はい!そろそろ行きましょう!」
私が立ち上がり鞄を持つと、課長が言う
「私が出すよ!任せてくれ」
「えっ?二日も立て続けて悪いですよ」
「いいからいいから」
そういうと課長は伝票を持ってレジへ向かう
先行投資ですね!
ご馳走様です
「ご馳走様でした」
「本当に頼んだぞ!もう花井しか頼れる人がいないんだ!」
しつこいな…言われなくてもきちんとしますよ
「課長、一応連絡先訊いてもいいですか?何かあったら連絡とりたいので」
「ああ。わかった」
そう言うと課長は簡単に番号を教えてくれた
さてと、平井さんに話を聞かないとね
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「花井さん、貴方の考えはどうやら外れていたみたい」
「え?何でですか?」
その日の終わりに私は平井さんに会い以前と同じカフェに来た
「彼は私と別れるつもりはないわ。きちんと先の事を考えてくれてたみたい」
「先の事…結婚ですか?」
「ええ。私と結婚したいって言ったわ?今はまだ無理って話だけど、近い将来にはね」
本当…呆れた人だ。こうやってズルズル引き伸ばしてどうなると思ってるんだろう
あ、私頼みってわけか…凄い信頼されたものだなぁ
「で、どうすればいいかしら?ここから先」
…こっちはこっちで……ね…
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