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「あるのか!?いい案が!!」
「はい。課長が平井さんと同棲すればいいんです」
「…ん…?」
私の言葉に課長は一瞬考え込み、我に返ると同時に声を荒げた
「無理に決まってるだろ!どこがいい案だ!!」
「勿論フリだけですよ。実際には無理でしょう。ただそういう行動で示さない限り彼女は強硬手段に出る可能性が高いですよ?」
「フリ…って言っても、どこまですれば…」
「最低でも家は借りなきゃダメでしょうね。形にする事で彼女の溜飲が下がりますし」
「…馬鹿なのか!?そこまでしてしまうともう後に引けなくなるだろう!!」
「彼女の熱が冷めるまで暫く共同生活を続けるってどうですか?女の人ってすぐ冷めるから大丈夫でしょう」
「だから無理だ!私が帰らんと妻が怪しむだろう!」
「単身赴任するとでも言えばいいんじゃないですか?」
「…うちにはもうすぐ受験を控えた娘がいる。例え本当にするとしても許してはくれんだろう。下手すれば妻が会社に電話をかける可能性がある」
そうなったら最高なんだけどな
「じゃあとりあえず部屋だけ借りてあげましょう。ちょっとお金はかかっちゃいますけど、仕方ないですよね」
「だが部屋を借りると言っても…いつまで借り続ければいいんだ…」
「だから平井さんが冷めるまでですね」
「いやだからそれはいつなんだ?」
「分かりませんけど…そんなに困るならもう平井さんとは別れたらいいじゃないですか」
「うっ…まあそうなんだが…彼女との付き合いも真剣なんだ…私は彼女を心から想っている」
虫唾が走るのでやめてくださいよ課長
「ならとりあえずそうするしか無いんじゃないですかね?」
「…契約はどうすれば」
「それは私が彼女に同行しますよ。課長が行くと課長の名義で借りなきゃいけなくなりますし、一応名義人は平井さんということにしてお金だけ課長が出すという感じで」
「確かにそれは助かるが…」
「じゃあ早速今日にでもその旨を彼女に伝えて下さい!すぐに不動産屋に行きますので!」
「…わ…わかった!頼んだぞ!上手くいけば次のプロジェクトは全て花井を推すようにするから」
……え?
何言ってるのこの人…
公私混同も甚だしい…こんな人が課長でいいの?
何気ない一言が、私の逆鱗に触れる
やっぱり貴方は早く私の前から…消えて下さいーー
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