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「浮気相手と課長がここで同棲しているんですよ。名義は浮気相手ですが、家賃は課長が払ってる形なんです」
「嘘でしょ…だってここ…16万もするじゃない!」
「ええ。かなりいいところに住んでるようですね」
「でもこんなの払えるはずないわよ…あの人にはそこまでお小遣い渡してないもの」
「私もそう思ったんです…ただ、この浮気相手の方は経理部の方なんですよ。課長の明細くらい簡単に改竄できると思うんですよね」
多分そんなのすぐバレるし無理だろうけど
「本当はもっと貰ってるってこと!?そんな事…犯罪じゃない!」
あ、信じてくれるんだ
「はい…でも、確証は無いんです。だからもっといい方法がありますよ」
「…いい方法?」
「課長から慰謝料をがっぽり取ればいいんです!離婚はしない形にしてお金だけ貰う感じで」
「離婚はせずに…」
「最悪別居にしてそこの家賃も課長に支払わせるんです!養育費もきちんと貰って奥さんとお子さんが困らないようにしてもらいましょう!」
「ちょ、ちょっと待って!」
捲し立てる私を制する様に、奥さんは手を出した
「どうしました?」
「…ちょっと頭が追いつかない…悪いんだけど、今日は帰ってもらえないかしら」
奥さんはそう言うと頭を抱え溜息を吐いた
「ですよね。すみません…わかりました、また日を改めます!この話はまだ課長に黙っておいて下さいね」
「…大丈夫よ、言わないから。花井さんだったかしら?良ければ電話番号教えてもらえる?」
「はい、是非お願いします」
私達は番号を交換し、その日は別れた
「大変だと思いますが、私は奥さんの味方ですので!」
「…ありがとう」
さて、と…
ーーー種は撒けた
後は奥さんと証拠集めをして課長に突きつければ課長は奥さんに多額の慰謝料を払わなければならなくなる
同時に、平井さんとの関係も絶たなくちゃならなくなるから課長には私から電話番号を変えて二度と連絡しないように言ってあげよう
そうすればきっと平井さんは企画部に押しかけてくる
後はそこで騒動を起こせば…課長は企画部にも居場所が無くなるだろう
大丈夫…上手くいく
破滅が芽吹くその瞬間を
私が必ず迎えてみせるーーー
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