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ーーー
憂鬱な気分を引き摺ったまま業務をこなし、気が付けばお昼になっていた
「佳純お昼行こ?」
「う、うん」
夢のせいで正直今日は菜穂とご飯に行くのも気が引けていた
まあ…気にしても仕方ないか
「…いこっか」
「あれ、佳純。電話鳴ってるよ」
「えっ、あっ!」
携帯を見ると今朝からの憂鬱が一瞬で吹き飛んだ
着信は、愛してやまない彼からだった
私は大慌てで電話に出る
「もしもし!?」
「もしもし佳純?実は今仕事で佳純の職場の近くまで出ててさ。時間もあるし、よかったらお昼一緒に食べない?」
「えっ!?本当に!?」
私はチラリと菜穂の方を見る
「いいよ!行って来なよ!」
菜穂は空気を読み、私に行くように促した
多分普段の私なら、すぐに菜穂に謝ってた
だけど…今日はーー
「…翔介さん、菜穂も一緒に行っていいかな?」
そんな言葉が口を衝いて出た
…私は知りたい
今自分が彼の中のどの辺りにいるのか
彼にとってどこまでの存在なのか
そして彼にとって、彼女の存在が今どれほどのものなのか
どこまで私は彼女に迫れたのか
それを確かめる為に、そう言ってしまった
「…風見も?」
「ええ!?いいよ私は!二人で行きなよ!気を遣わないで!」
「嫌?」
「いや嫌とかじゃないけど…お邪魔虫になるじゃん…?」
「ならないよ。それに、あんまり無い機会だしさ」
「……じゃあ行かせていただきます。正直一人でご飯行くのあんまり好きじゃ無いしね」
「うん!じゃあ翔介さん、菜穂も一緒に行くね?」
「う…うん!わかった。待ち合わせはどこにする?」
「とりあえず10分後駅前集合でどうかな?」
「わかった!待ってるね」
「うん!すぐに行くね!」
電話を切り、私は菜穂に言う
「さっ!行こっか!」
「なんかごめんね」
「全然気にしないで」
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