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ーーー
10分後、駅前へやってきた私達はキョロキョロと辺りを見渡し翔介さんを探した
「いないね」
「うん…どこかな」
「ちょっと電話してみるね?」
私はすぐに翔介さんに電話を掛ける
「もしもし?」
「翔介さん、着いたよ。どこかな?」
「あっ、見えた。ロータリーの向かいにいるよ」
「あっ!ほんとだ!いた!」
ロータリーの向こうに、スーツ姿で立つ翔介さんの姿があった
「菜穂!あっちだよ!」
私は逸る気持ちを抑えきれず、菜穂を置いて先に走って翔介さんの元へと駆けつけた
「もう佳純!置いてかないでよね」
菜穂はその後ろを歩いて追いかけてきていた
「お待たせ!翔介さん!」
嬉しそうに、私がそう言った瞬間
翔介さんが叫んだ
「風見!!!」
その叫び声のすぐ後に響いたのは
けたたましいタイヤの摩擦音と
車が何かにぶつかる音…ーー
青ざめる翔介さんの顔を見て、すぐに私も振り返ると
そこにあったのは
車線を大きく逸脱したボンネットの凹んだタクシーと
血を流し横たわる…
親友の姿だったーーー
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