215人が本棚に入れています
本棚に追加
/549ページ
ーーー翌日
社内は菜穂が事故に遭ったという話題で持ちきりだった
会社に着くなり皆私に菜穂の様子を訊いてくる
どうせ皆興味本位なんだろうな
「…大丈夫だったんだな?とりあえずは」
背後から、神妙な顔付きで月島さんがそう言った
「命に別状は無いようです。今日また病院に行ってきます」
「そうか…俺も行くわ」
「…え?…わかりました」
「今日定時で上がって一緒に行こうぜ」
「はい」
「後…こないだの話なんだが」
「こないだ?」
何の話だろう…
「開発展の話だ。多分風見の復帰は難しいだろ…結局花井に任せようと思ってんだが…」
そっか。すっかり忘れていた
菜穂が出れないから代わりに誰かが出ないといけないのか
今となってはどうでもいいけど、菜穂が負い目を感じてしまうし…仕方ないか
「私出ます。もう一度資料読み直して勉強しますので」
「助かる。んじゃ任せたぜ」
不思議なもので…
物事は執着している時は残酷なまでに離れていくのに、心から離れた時にすんなりと手の中に戻ってくる
だとするなら
私は決して翔介さんの心を手に入れる事は出来ない
永遠に
私の心から貴方が離れる日など…きっと来ないから
最初のコメントを投稿しよう!