加速

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ーーー 定時になり、私は月島さんと並んで菜穂の病院へと足を運んだ 「風見菜穂さんのお見舞いに来たんですが、病室は何号室でしょうか?」 「あ、はい。風見さん風見さん…えーと、301号室です」 「ありがとうございます」 淡々とした看護師さんに病室を聞き、エレベーターで3階へと行く 301…ここか 大部屋の一番奥に菜穂の名前を確認し、カーテンをゆっくりと開く 「…あっ、佳純!と…月島さん!」 「菜穂…大丈夫?」 「おす、元気そうで良かったぜ」 「めちゃくちゃ痛むけど、大丈夫だよ…でも暫く入院が必要みたい」 「本当に良かった…ごめんね…菜穂」 「なんで佳純が謝るのよ!ボーッとしてた私が悪いんだから」 「まさか車が突っ込んでくるとは思わなかったわ…」 「タクシーの運転手は?」 「お昼に謝りに来てくれたね。向こうは無事みたいでよかった」 そう思えるのが菜穂の凄いところだ 微塵も恨んでる様子を見せない 「そうなんだ…あ、これ良かったら」 私はお見舞いの品を菜穂に手渡した 「ありがとう!月島さんもありがとうございます!」 「まあゆっくり休め。仕事の事は忘れてよ」 「…すみません。あの、開発展はーー」 「私が出るから大丈夫だよ。気にしないで」 菜穂は安堵の溜息を落とし、顔を上げて私に言った 「…佳純。本当にありがとうね…」 「ううん。ゆっくり休んでよ」 「…うん。暫く休暇いただきます!」 「あっ、そういえば翔介さんもお見舞いに来るって言ってたよ?」 「え?ああ、鳥谷さんならさっきーー」 「菜穂ー買ってきたわよー。あ、佳純ちゃん!昨日はごめんなさいね」 振り返ると、菜穂のお母さんが立っていた 「あっ、こんにち…はーー」 そして隣には 両手に買い物袋を提げた… 翔介さんの姿があった
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