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「そ、協力」
「…一体何の?」
「そうだな。アホそうなあんたにもわかりやすく教えてやるよ」
いちいち発言にイラっとするけどキリがないのでスルーすることにした
「そもそも俺が翔兄に話しに来た事って何かわかる?」
「…わからない」
そんな事、わかるわけないでしょ
アホはどっちだ
嫌悪の眼差しで麟君を睨みつけると、ムッとした顔で彼が返す
「ムカつく目で見てくんな。わからねえって思わずにちゃんと考えてみろよ。あんたに関係してるんだから」
「え?」
そう言われても…
「見当もつかない…」
「…んじゃ、ヒントをやろうか」
「俺はある人に言われてあんたと翔兄の事を見に来たんだ」
「ある人…?」
ある人って…
……まさか…
「…お兄さん?」
私の答えに、麟君はニヤリと笑って答えた
「へぇ、取り返しがつかないほどのアホじゃないみたいだな」
嘘でしょ……
あの人、わざわざ弟に頼んで私達の事を調べようとしてるの…?
普通そこまでする?
いや、あの人は普通じゃなかった
「竣兄は今ドイツに出張に行ってるけど、もうじき帰って来る。そして今度こそ翔兄にウェルズの役員の座を設けようとしてる」
「んでもってそんな翔兄にあんたは彼女として相応しくないってさ」
「…知ってる」
「だから俺にあんたらの仲を妨害しろって言ってきたんだ」
「…反吐が出そう」
「ハハッ!ムカつくだろ。だから俺はあんたに協力してやるよ」
「二人であの傲岸不遜な兄貴を見返してやるってのはどうよ?」
「…どうやって?というより
麟君はお兄さんの事嫌いなの?何で私に協力しようとしてくれるの?」
「簡単だろ。あんたが嫌うよりも俺の方が遥かに竣兄の事が嫌いだからだよ」
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