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「あんたも色々前途多難だが…頑張れよ」
「じゃあな」
強烈な印象を残して、麟君は帰っていった
だけど何でだろう。私は翔介さんの前で演じている人懐っこい彼よりも
今の刺々しい彼の方が好きになれそう…
…同じ人種だからかな
ーーーでも……子供を作るとか、春宮さんをどうとかよりも
今はもっと深刻な問題がある
翔介さんがどう考えてるかはわからない…けど…少なくとも私は彼の中に変化を感じている
それはきっと、私と翔介さんの間に大きな隔たりを生んでしまった
この隔たりを、どう取り払えばいいのかがわからないーー
今日みたいな虚しい日々が、また幾度となく繰り返されるのだろうか…
………ただ好きなだけなのに
普通に幸せな日々を送りたいだけなのにな
いっそ本当に彼の子を宿してやろうかーー
いや、そんなことをして彼を繋ぎ止めても虚しさしか残らない…それに、望まれない子供なんて子供が可哀想だし…
こんなにも、狂おしいほど想っているのに
あなたに届かないなんて…
翔介さん…どうすれば私だけを見てくれるの…
頭に浮かぶ菜穂の笑顔に
憎悪の念が憑き纏う
菜穂…菜穂は親友だよ
だからこそーーー
この憎しみが…抑えきれないんだ
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