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「長い間ごめんね。来れなくて」
日曜の朝一で、私は菜穂のお見舞いにやってきた
「ううん!嬉しいよ!佳純に会いたかったから」
「…開発展無事に終わったよ。菜穂がよりわかりやすく資料まとめてくれてたから説明もスムーズに出来たよ。ありがとう」
「…良かった。こっちこそ本当にありがとうね…」
「…菜穂、翔介さん最近お見舞い来てる?」
「あー、それなんだけどね…私も佳純に話したかったの」
「え?何?」
話を切り出そうとした矢先に出鼻を挫かれる
「鳥谷さんなんかお母さんに気に入られちゃって…
料理の話をしに毎日来るから…三日くらい前に言ったんだよね。もうあんまり来ないでって。
考えてみると、佳純からすれば良い気しないかなって思ってさーー私鈍いから全然気付けなかったんだ。ごめん」
ーーー嬉しかった
菜穂が自分からそう言ってくれてたなんて
ごめん菜穂…私は今日菜穂に翔介さんに来ないように頼んでって言うつもりだったの…
でも菜穂はやっぱり私の事を考えてくれてたんだね
そうなんだ
実はずっと私も言えなくて悩んでたんだって
そう言おうとした時、またも先に菜穂が口を開いた
「だけど、佳純が鳥谷さんに言ってくれたって聞いて私嬉しかったよ…ありがとう」
……ん?
「何を?」
「佳純が鳥谷さんに毎日私の所に行ってあげてってお願いしてくれてたんだね!ありがとう!」
翔介さん…何でそんな嘘ついてまでこようとするの…?
私もう…翔介さんがわからないよーー
どこまで貴方は菜穂を想うの……?
僅かでも私への罪悪感とか、そういうのはないの?
「ちょっと待って菜穂、私ーー」
ハッキリ言ってやる
全部嘘だと
私はそんな事言ってもないし、思ってもない!
その瞬間、背後から声がした
「ーー佳純??」
神懸かりなタイミングで現れたのはやっぱり
「…翔介さん」
ずっと会いたかった…愛する彼だった
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