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「ちょっと待って!佳純!」
私は力づくで彼を病室から引き離す
エレベーターにまで引っ張り乗り込んだ所で私が手を離すと、翔介さんが私に尋ねる
「どうして急にこんな真似…確かに嘘をついたのは僕が悪かったけどさ…でも佳純もここに来ることは了承してくれていたじゃないか」
「わかってる!でも、辛いよ…だって私は翔介さんの彼女なんだよ…?」
「僕が今風見に抱いてる感情は恋愛じゃないよ。それは佳純も分かってくれていると思ったけどな…」
「…わからないよ。だって翔介さんは…」
菜穂のストーカーなんだから…
「……理解して欲しい。彼女なら」
「…理解なんて…したくないよ。私だって悲しいよ…わかってよ」
「……どうやら考えにズレが生じてるみたいだ。これ以上は無駄な話し合いだと思う」
無駄だなんて言わないでよ…簡単に切り捨てないで
私の気持ちを理解する事を、放棄しないでーー
「ここには明日も来るよ。佳純がダメだと言ってもね」
「菜穂が許さないよそんなの!!」
「許されなくてもいい。例え突っぱねられても、僕は風見に会いにくるつもりだ」
「何でよ…
何で!!?翔介さんおかしいよ!!
どうしてそこまでするの!?翔介さんは菜穂の彼氏でも何でもないんだよ!!?
ただの【彼女の友達】でしかないんだよ!!
いい加減気付いてよ!!おかしいって事に!!」
感情が爆発する
口が勝手に動いて、次から次へと捲し立ててしまう
息を切らしながら叫ぶ私に翔介さんは
消えそうなくらいに儚く朧気な微笑みを浮かべて言った
「……ハハ、まさか佳純から『おかしい』なんて言葉が今更出るなんてねーー」
その言葉に私はハッとなり、自分が言い過ぎてしまった事に気が付く
「ち、違うの…!ごめんなさーー」
「ずっと無理させててごめんね」
「違うの!!翔介さんっ!!!」
何を言おうとしているのか
顔を見ればわかる
その先は…絶対に聞きたくない
お願いだから…
言わないでーー
「ーー別れようか」
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