片想い

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花井 佳純 22歳 大手化粧品会社で勤め始めて4年の至って平凡な女である 特技らしい特技もないし、趣味もない 毎日ただ普通に、職場と家を行き来しているだけの生活… 「佳純、おはよう」 「あ、おはよ…」 後ろから肩を叩いて声をかけて来たのは、私の高校時代からの親友だった 風見 菜穂 22歳 私なんかと違って菜穂は超美人でかなりモテる 私はそんな菜穂と親友だということを少し誇りに思っている 「新商品のレポート書いて来た?」 「一応…自信ないけどね」 「大丈夫だよ!佳純は私と違って頭いいし!」 そう言う菜穂だけど、私は高校の時に彼女よりテストで高い点を取った事がない 嫌味になるほどの謙遜だけど、菜穂が言うとそう聞こえないから不思議なものだ 「そういえば菜穂、こないだ告白してきた営業部の人どうなったの?」 「え?普通に断ったよ。合う気がしないし」 「かなりカッコ良かったのに…しかもあの人優秀なんでしょ?」 「うーん。今は恋愛する気ないから…」 「仕事一筋なんだね菜穂は。凄いなぁ」 「そんなんじゃないよ。ただ付き合う気とかが起きないだけ」 「それより」 「佳純はどうなのよぉ!」 菜穂が私の肩を揺さぶりながら訊いてくる 「私も今は…いいかなぁ」 「えー、可愛いのに勿体無いなあ。あ!あの人どうなったの?例の、『電車で会う彼』は!」 「うん、毎日見てるけど…私なんかきっと相手にもされないから見てるだけで充分かな」 「何言ってんのよ!このままだといつか後悔するよ!ずっと気になってるんでしょ!?ダメ元で告白してみなよ!」 「うーん…」 告白…かぁ…
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