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「私なんて生きる価値がないと、そう言いたいんですよね?」
「は、はぁ!?そんな事一言も言ってねえだろ!」
「女からすればそう言われてるのと同じなんですよ
そんなんも分からないから菜穂に振られるんですよ?
正直に言ってあげましょうか?菜穂は貴方の事気持ち悪いって言ってましたよ。顔も性格も全部気持ち悪いって。顔を見ながら食事すると食欲が失せるって言ってました
私も今日その言葉の意味がようやくわかりました。
今猛烈な嘔吐感に襲われています、貴方のせいで」
「…のやらぁ!!」
赤面しながら古場は花井に掴みかかろうとした
「やめとけ古場!相手は女の子だぞ!」
俺は古場の後ろから腕を回し制止した
それにしてもこの子、やっぱり知ってたんだな古場の事…
「関係ねえ!この女ふざけやがって!風見がそんな事言うわけねえだろーが!!お前みたいな奴が風見の友達なわけがねえ!そう思われる風見が可哀想だぜ!!」
「フ…ふふふふっ!フフフフフフッ!
アハハハハハハハハハハッ!
あー可笑し」
急に壊れたように笑い始める花井に、古場はたじろぐ
「な…何だよ!?」
「古場、こいつちょっとおかしいぞ…まともに相手にすんな」
小鳥遊さんはまるで汚い物でも見るような目で花井を見ながら古場に忠告した
「本当可哀想ですよね。私もそう思います」
そう言い残し
花井は食器を返して去って行った
「何なんだよあいつ…頭おかしいぞ、絶対」
唖然として立ち尽くす古場を他所に
今まで全く気にも留めていなかった、花井という人物が
俺の心に強く根差してしまった
…それと同時に
兆しに触れた気がした
…彼女がこれから巻き起こす
悪意という名の巨大な渦の
その兆しにーーー
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