排除

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ーーー 憂鬱な月曜日 セットした目覚まし時計がうるさかったので、叩いてからもう一眠り 気が付くと30分も寝坊をしてしまっていた 憂鬱さに包まれながら、渋々準備をして家を出る 曇天の下を覇気なく歩く人々の群れに合わせながら私は駅までの道を往く …いっそ休んでやろうかなとも思ったけど月曜日は仕事が溜まりやすいので仕方なく出勤する事にした 仕事のことなんかどうだっていいんだけどな… ゆっくり来たせいで本来よりも1時間近く遅れて会社に辿り着いた 「おはようございます」 「おはようございます。珍しいね。遅刻かい?」 会社のエレベーターに乗る前に一階で本間さんに出会う 「寝坊してしまいました」 「はは、たまにはいいんじゃないか」 相変わらず本間さんは優しいな 「すみません、気を付けます」 エレベーターに乗り込む私に本間さんが手を上げて答えた エレベーターを降りると、オフィス内から何やら喧騒が伝わってくる よくわからないけどラッキーだ これならさりげなく紛れ込める 私は自分のデスクに音を消して歩み寄った 「いやーしかし向こうからオファーがあったなんてにわかに信じ難いな!」 「本当にビックリですよね…!」 「それで、先方はいつこちらに?!」 「本日の9時半と言ってたんで間もなくだと思われます」 「よし、対応するから応接間にお連れしてくれ!」 新課長が偉く息を荒くしている 朝からうるさいなーーー 「こら花井、何さりげに座ってんだ」 「あ…おはようございます」 背後から飛んできた月島さんの声に驚きながら挨拶を交わす やっぱり月島さんにはバレるか… 「おう、おはようさん。寝坊か?」 「はい。すみません」 「まあ大丈夫だ。課長も部長も今浮かれてっから遅刻くらい笑って許してくれるからよ」 「…何があったんですか?」 「大手会社とのコラボレーションの契約が成立しそうなんだと。しかも何でも向こうの担当者から打診して来たらしい」 「大手会社?」 「おう。絶対お前も名前は聞いた事あると思うが」 「なんていう会社ですか?」 「確か名前はーー」 「先方がいらっしゃいました!!」 月島さんの声が遮られる どうやら担当者がオフィスに着いたらしい 「えっ!?」 エレベーターから降りて来た担当者らしき人物を見て、私は思わず目を疑った
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