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「清彩蔵株式会社の春宮と申します。本日はよろしくお願いします」
その姿、声は紛れもなく
私が一番嫌いな女
春宮彩だった
パンツスーツを着こなし出来る女感を出してるのが無性に腹が立った
ただのお嬢様のくせに
でも問題は…何でこの性格ブス女がここに来たか…だ
……恐らく理由は決まってる
私に復讐するためだろう
わざわざ会社ぐるみで接近してくるなんてどこまで粘着質な性格なのか…気持ち悪い
性格ブス女だから仕方ないか
私と目を合わせる素振りすらなく、春宮彩は課長に応接間に案内され入って行く
「…おい花井。あの女…だよな?」
隣から、月島さんが私に尋ねて来た
あの女、というのは開発展で私が化粧水ぶっかけた女という意味だろう
「はい。あの女です」
私の返答に苦笑いしながら月島さんは眉を潜めた
「偶然にしちゃあ…怖えよな」
「偶然じゃないですよ、私を狙って来たんだと思います。こないだの腹いせに」
その言葉に月島さんは全てを察した様子で頭を抱えた
「…はぁーっ。やっとわかったわ…やっぱりこないだのはわざとだったんだな…お前ら知り合いかよ」
「はい。あの人翔介さんを狙ってるんですよ。だから私が気に入らないんでちょっかいかけてくるんです。要するにクズ女なんですよ」
私は月島さんに包み隠さず話した。月島さんならきっと私の味方をしてくれる筈
一人で渡り合うにはあの女は少し厄介だし味方はいた方がいい
だけどここはあの女にとってはアウェーだ
あの女もそれを分かってるからこそ立場を使ってここに来たんだろうけど
今の私に失うものなんて何もないから
あんたが何しようと全然怖くないけどね
ーーー私はもう…一番大事なものを失ったんだ
「…でも一応は会社にとっては上客だ。仕事に関しては割り切っといた方がいいぞ」
ぶっちゃけ仕事なんかどうでもいいけど…
「わかってますよ。仕事は仕事で考えます」
「妙な真似したら俺も手を貸すからよ」
頼みますよ月島さん
頑張って二人であの女を潰しましょうね
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