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暫くして、春宮彩が課長と応接間から出てきた
「皆さん、改めて紹介する。今回このプロジェクトを担当して下さる春宮彩さんだ」
「春宮です。今回は我が社と名聖堂様のコラボレーションという形でお話を受けていただき感謝しております。誠心誠意、責任を持って担当しますのでよろしくお願いします!」
春宮彩は頭を下げながら言った
誠心誠意というこの女に一番相応しくない言葉を聞いて笑いが出そうになったけどなんとか我慢した
「それでだ、今回この企画を主となって担当してもらう人間なんだが…春宮さんが言うにはこの企画は若い女性の方が理解が深いという観点から、花井に担当を任せたいと思う」
「…マジかよ」
月島さんが小声でそう漏らした
「花井は先日の開発展もきっちり成功を収めてくれたし責任感も強い。今回の担当者に最も適していると思っている」
評価してくれるのはありがたいですけど私は責任感のかけらもありませんが…
しかも課長入ってまだ日も浅いのに私のことそんなに知らないでしょ。私のどこに責任感の強さを感じたのかを朝まで飲みながら語り合いたい
だけどまあ
これはあの女からの私への宣戦布告だ
だから断るわけにはいかない
翔介さんという存在を抜きにしても、この女には負けたくない
どこまでも人を見下した女…
あんたの狙いが何かはわからないけど、黙ってやられてたまるか
「花井佳純と申します。これからよろしくお願いしますね?」
とびきりの笑顔で、私は言ってやった
「よろしくお願いします花井さん。これから共に頑張っていきましょうね?」
同じくとびきりの笑顔で挑発し返してくる性悪女
視線の中に紛れる悪意と敵意を隠し
朗らかに和やかに
戦いの火蓋は切って落とされる
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