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ーーー 私と春宮さん、そして月島さんという奇妙な組み合わせの三人 そして私は今お茶を啜りながら、二人のやりとりを静かに見守っていた 「え!あの習学館女子に通ってたんですか!」 「そうです。と言っても、父の力で通わせていただいてただけですけど…」 「いやあ、道理で立ち居振る舞いが綺麗なはずですね。あそこに通ってる人初めて見ましたよ!」 「フフッ、とは言いましても普通の学校ですよ?通う方々も皆さん普通の学生でしたし」 習学館女子といえば私でも知ってる日本でも有数のお嬢様学校だよね? そんな風に謙虚にすればするほど嫌味に聞こえて仕方がない それにしても… 喋れば喋るほど自慢話しか出てこないなこの人は 幼少期は海外にいたとか、有名なピアニストとバイオリニストにピアノとバイオリンを習っていたとか、有名モデルと知り合いだとか 月島さんもよく聞いてて疲れないなと思う 「いやぁ…すげー人と知り合いになれて光栄です。ところで話は変わるんですが一つ訊いていいですか?」 まだ質問するんだ… 「はい。なんでしょう?」 「春宮さんって好きな人とかいるんですか?」 その質問に私と春宮さんは露骨に反応を示した そして同時に、月島さんと春宮さんの間にあった空気も一変する 「……ええ。いますよ」 「どんな人なんですか?」 「とても穏やかで聡明そうな方です」 ーー月島さん…何を言うつもりだろ 「へえー。その人のどういうところが好きなんでしょう?」 「………そうですねぇー…きちんと答えたい所なのですが……ーー何かを探られているような気がしてならないのですが… 花井さんから何かお聞きになったのですか?」 にっこりと不敵に笑む春宮さんに対し 作ったような笑顔で返す月島さん 「…俺は回りくどいのは苦手なので単刀直入に言わせてもらいます。 今回、春宮さんがこの会社に来られたのはたまたまですか?それとも何か別の思惑があって来たとか?」 ひりついた空気の中で、蚊帳の外にいる私は相変わらず一人お茶を啜っていた 月島さん…多分それを問い詰めるためにここまでついてきたのか だけどこの人にそんな牽制は通じないと思うけど 「ーー偶然に決まっていますよ。花井さんは月島さんに私の事をどのようにお話しされたのですか?何やら随分と敵意を抱かれてるようですが…」 私に話を振ってくるのやめてほしい 「…私は別にそんな変なことは言っていませんよ。ただ春宮さんが、翔介さんの事を好きだと言っただけです。なにせ月島さんは翔介さんの昔からの友達ですから」 私は隠す事なくそれを答えた 「まあ!そうだったのですか!?鳥谷さんのご友人でしたの!是非色々お聞かせ願えますか?!」 その答えを聞いた彼女は嬉しそうに月島さんに尋ねる ね?意味ないでしょ? この人ちょっと頭おかしいからね
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