215人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
ふざけた女だわ、花井佳純…つくづく私を舐め腐ってるわねあの女ーー
大体私より魅力的な人間がいるわけないじゃない、馬鹿じゃないのアイツ…
先に店を出た私は店から少し離れた場所にある喫煙所で煙草を吸っていた
「…彩さん。そんな姿他人に見られたらどうするんですか」
「…うるさいわね」
「今から会社に戻られるのですか?」
目の前に現れそう尋ねたのは、私の執事の瀧坂という男
「ええ。もうすぐ戻るわ…替えの服は?」
「ちゃんと用意してますよ…そんなに気遣うなら煙草なんて吸わなきゃいいじゃないですか」
「…イライラしたら吸いたくなるのよ」
「難儀ですね…お車にどうぞ」
私は瀧坂に促され黒いリムジンに乗り込んで着替えを始めた
「しかし驚きましたよ。まさか彩さんが急に仕事をするなんて言い出すとは…しかもご自分で稟議書まで提出してそれを通しちゃうんですからね」
「作成して出したのはあんたでしょ。礼を言うわ、相変わらず仕事が早いわね…あとはそのホストっぽい格好をどうにかしたらいいと思うわ」
赤い髪にスーツ姿というミスマッチな風貌の瀧坂は道行く人の目を引きやすい
しかも顔がイケメンだから余計に目立つ
ほとんどの人はホストに見えるでしょうね
「これはポリシーです。業務違反ではないでしょう」
「まあね、あんたはちゃんと仕事をこなすから誰も何も言えないのよ」
「…で、首尾良くいきそうなんですか?」
「ーー少し予定変更よ。始めはあの女に恥かかして会社から追い出してやろうと思ってたけど…他にやる事が出来たからそれは後回しにするわ」
「やる事?」
「鳥谷翔介に関わる事でね」
「…珍しいですよね。彩さんが男に固執するなんて」
「……そろそろ行くわ。また何かあったら呼ぶから」
「承知しました。お気をつけて」
新調した同じ服を身に纏い、私は会社へと歩き出す
最初のコメントを投稿しよう!