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ーー私は別に鳥谷翔介なんて男どうだっていいのよ
でもあの時…
パーティ会場で初めてあの男に会った時ーー
あいつは私の事なんて眼中にないかのように、ろくに目もくれず、即座に見合い話を断った
そしてあろうことか、あんな冴えない女と付き合っていた
これまでの人生で私の誘いを断る人間なんていなかったし、いろんな男が私に言い寄ってきた
男なんて選び放題の私がちょっと有望だと思ったからあえて色目を使ってやったのよ
なのに!
そんな慈悲深く魅力的な私よりもあいつはあの愚民を選んだという…
それが何より許せない…!
絶対にあの女から鳥谷翔介を奪ってやる!
……つい数分前まではそう思っていたんだけど
あの女が勝手に振られちゃったから状況変わっちゃったじゃないの…まあ仕方ないかあのブスじゃあね
でもだからこそ鳥谷翔介には余計に腹が立つわ
私を振ってまで選んだあのブスを更に振るってことは…
私がそれ以下だと言われてるみたいじゃない!!
この春宮彩様にこんな惨めったらしい思いさせるなんて…
…ーー花井佳純は、鳥谷翔介には本当に想いを寄せる女がいるとか言っていた
となると花井佳純すら大して好かれてなかったってこと?カムフラージュ的な何か?世間体的な問題?謎なところね
まあそれはどうでもいいとして…
…あいつが一番好きな女ーーー
それが私よりも魅力的だなんてへそで茶が湧いちゃうわよ
ならそいつから鳥谷翔介の心を奪ってやるわ
そうすれば花井佳純もギャフンと言わせられるしね
鳥谷翔介は私に心酔させて従順な奴隷にしてから最後にはあっさりと捨ててやる
あー考えただけで爽快ね!ゾクゾクしてくるわ…
私の世界で一番なのは、常に私でないといけないの
世界の主役である私に対して脇役みたいな扱いをしたあいつらの罪は死罪に値するレベルなのよ
愚民共はどいつもこいつも私に擦り寄って媚び諂ってればいいのーーそうでしょ?
ーー彼女はグシャリと、ヒールで路傍の花を踏み潰す
何の躊躇もなく非情に、冷徹に
そして誰にもその本性を悟られぬよう笑顔という仮面を被り、虚に塗れる
その底無しの歪みを心の内に侍らせてーー
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