排除

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さっきまで意気軒高に自分の悪口を言っていた彼等を 言葉でも暴力でもなく この人は…善意で捻じ伏せてしまった 何も言えずに噤む彼等は 威勢よく本人を前に啖呵を切る事も、謝る事も出来ずにバツが悪そうに静かに座っている そんな彼等を見て彼は続け様に言った 「あと、練習中に色々口を出すのは怪我をして欲しくないっていうのもあったんだ…上から言ってるように聞こえたなら本当にごめん」 信じられない。まさか彼から頭を下げるなんて… 「いや…俺等も悪かった。そんな事知らずに好き放題言っちゃってさ」 「さっきのは全部忘れてくれ。冗談だから」 「ごめんな」 一変して謝る彼等を見た彼は優しく微笑む その顔は私が今まで見たどんな人間よりも かっこよくて…輝いて見えたーー 私には出来ない 声を掛ける事も 許す事も ましてやその後に優しさを投げかける事など 到底出来やしない… 優しさも強さも、私に無いものを全て持っている彼を 名前すら知らない貴方を その日から私は ずっと見続けているーー そして、その度に惹かれていく いつからか憂鬱でストレスしかなかった帰り道が 貴方のおかげで楽しみになっていた ねえ翔介さん 私は恋愛漫画なんて信じないけど 貴方が私の告白をOKしてくれた時 私は【運命】というものを信じたんだよ
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