排除

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ーーー 菜穂にはわかるわけがない だって菜穂は私とは違う世界に住む人間だから 何かが欠落した人間は、その足りない部分を補う為にそれを持ってる人に焦がれるんだ パズルのピースを探すように その一生の中でずっと それを嵌め込む作業を繰り返してる 「…私は、菜穂とは違う… 弱いから…自分を責められない 他人を責める事でしか自分を守れない… だから私は菜穂を憎むしか出来ないんだよ …だって翔介さんは… 私より菜穂を選んだんだから…」 「鳥谷さんの事なら私にはその気は全く無いから大丈夫って前にも言ったよね?私と彼がどうにかなる事は絶対ない」 「…菜穂が大丈夫でも私が大丈夫じゃない」 「知ってるでしょ!私は佳純に感謝してもしきれないくらいのものを貰ってる…そんな私が佳純を裏切るわけない!佳純とずっと親友でいたいから…」 「…じゃあ… 本当にそう思うなら、私のお願いを聞いてよ。菜穂」 「…お願い?」 「うん。お願い訊いてくれたら私も翔介さんの事はきっぱり忘れるよ」 「…言ってみて」 「ーー整形して」 「………え?」 「私と全く同じ顔に整形してよ。お金なら私が出すよ。多少の貯金ならあるから」 「…本気で言ってるの?」 「まだ冗談だと思ってるの?本気だよ。整形して、全部水に流して、また仲良くしよ?」 最高の笑顔を作って私は微笑んだ それとは対照的に、菜穂の表情は険しかった 「そんなの出来るわけないでしょ!どうしちゃたのよ佳純!!絶対変だよ!いつからそうなっちゃったの?!」 「だからそうさせたのは菜穂なんだよ。菜穂が翔介さんと知り合いじゃなかったらこんな事にはならなかった!!」 「そんなの…どうしようもないじゃん!過去の事なんてもう変えようがないんだよ!?私はどうしたらいいのよ…」 「だから整形してよって言ってるでしょ!」 「なんでそうなるのよ!!もっとちゃんと話し合おうよ!」 「話し合う事なんてない!もう戻れないって言ったのは菜穂じゃない!どうしようもないんだよ。だから私の気持ちも変えることは出来ないんだよ…」 「…そんなの酷いよ。佳純と鳥谷さんの事なのに…私は関係ないのに…」 関係ない…? 関係ないわけがない 彼の人生に自分がどれだけ影響してるか知らない癖に 彼の心のど真ん中に居座り続けている癖にーー! 「…何にも知らないんだね…」 駄目だ… これだけは言葉にしたら… もう私と翔介さんは以前のようには…戻れなくなる 「…何を…?」 駄目だ…言うな 我慢するんだ… 「翔介さんが菜穂を苦しめていたストーカーだということを」
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