排除

26/30
前へ
/549ページ
次へ
ーーー 「ーーー…様」 「……」 「お客様!!」 「…え?」 「……ラストオーダーになるのですが何かご注文なされますか?」 「あ…」 気が付くと店には閉店時間が迫っていた 頼んだホットコーヒーはカップ一杯のまま冷めきっていた 「…もう帰ります。すみません」 一体どれくらいの時間、私はここに佇んでいたんだろう 目の前のもう一つのカップを見つめながら 漸く私は自分の頬に伝うものに気が付いた そうかーー私にもまだ人並みの心はあったんだ… このコーヒーみたいに、いつのまにか冷めきってたと思ってたのに… 「フフ…ハハハ…ハハハハハッ!!アッハハハハハハ!!」 突然高らかに笑う私を、周りの人達が化け物でも見るかのような目で見てくる 私はどの道もう戻れないんだよ 一番大切な秘密を口にしてしまったんだから だから菜穂…もう私には 奪うことしか許されてないんだよ… もう遠慮はしないよ 菜穂の全てを、剥ぎ取ってあげるーーー
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加