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ーーー 「おはようございます佐伯さん。昨晩はご馳走様でした。また是非よろしくお願いしますね」 「あ、ああ…おはよう。また行こうね…」 朝から爽やかな笑顔でそう言ってくる彩ちゃんにそう返したが、俺の心中は穏やかじゃなかった 何故なら昨日の夜ーー 俺の計画ではほろ酔いになった彼女をお持ち帰りするつもりだった だからわざわざ彼女がオススメする馬鹿高い和食居酒屋に連れてって高い酒もガブガブと飲ませてやった 頬を赤らめ彼女が惚け始め、そろそろかと会計を済ましタクシーを呼んだ瞬間… 「では私はお迎えがございますのでそちらで失礼します。とても楽しかったです、ご馳走様でした」 背筋をスッと伸ばして彩ちゃんはそう言い放った 「ちょ…ちょっと待ってよ彩ちゃん!良ければうちにいいワインが…」 と、俺が声をかけた途端 車の側にいたホストみたいな男が俺を睨んできやがった… 何で迎えの車なんざ呼んでやがんだよ!!チクショオがぁあああ! そんな怒りとは裏腹におめおめと引き下がり… 俺の計画は見事に水の泡だ… しかもやたらと色んな事聞いてきたな…酒が回って思わずつい口が滑っちまったが他言しねえだろうな……頼むよマジで… 「大丈夫です。昨日聞いた話は全て私の胸の内に秘めておきますので」 「え…?あっ、そうだね。へへ」 顔に出てたのか…察してくれたみてえだな ほんと…油断ならねえ子だわ… だけどそこがまた唆るねっ! 「おはようございます」 …おっ 遠くの方で佳純が挨拶をする声が聞こえてくる クソ…やっぱ思い出しただけでムカつく! 澄ました顔しやがって…その面みっともねえ泣き顔にしてやりてえ!! 睨むように暫く見ていると、佳純は彩ちゃんの方へと歩いて向かって行った ーーチャンス! 俺はあいつの隣の岡本さんに用があるフリをして近寄っていく 「岡本さーんちょっといいっすか?岡本さんって前中ヘルスケアの下田さんのアドレス知ってましたよね?」 「知ってるわよー。何?アドレス消しちゃった感じ?」 「いやー間違えて消去しちゃって…ちょっと教えてもらえないすかねえ?」 「いいわよ。ちょっと待ってねえ」 「助かります」 岡本さんがパソコンをいじり出した時、俺は横目で佳純のデスクを覗き見する あった。これだ…! 俺は佳純のデスクの上に置いてある小物入れに入ってる鍵を自分のポケットに入れた
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