猛襲

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とはいえ一応は本間さんに信じさせられたわけだ 次は私の番だ 「課長、清彩蔵さんとの共同企画商品の書類ここに置いときますね」 「あ、分かった。後で目を通しておくよ」 「お願いします」 私は課長のデスクに青色の書類を置き、自分のデスクへと戻った そして本間さんの方を横目で見る 思った通り本間さんは私の方をジッと見ている 私のすぐ後に佐伯さんが課長のデスクへと向かって行ったのには気が付いていない筈 フフ、案外上手く動けてるね。良い駒になれますよ、佐伯さん そして私はチラリと菜穂の方を見た するとジャストのタイミングで菜穂が立ち上がり席を外した 私は菜穂の事をよく知っている 菜穂は10時過ぎになると毎日必ず給湯室へコーヒーを淹れにいくんだ その菜穂の後を追うように佐伯さんが立ち上がりオフィスを出る 「菜穂ちゃーん、ちょっといい?」 「佐伯さん…何ですか」 「あのさ、悪いんだけど俺ちょっと腹下しちゃって…今気付いたんだけど課長のデスクに間違えてボツの書類置いちゃったんだよ。あれ見つかると怒られるからシュレッダーかけててくれない?」 「何で怒られるんですか?」 「いや俺毎回日付間違えちゃって何度も注意されてるんだよ。今回も間違えて…後でシュレッダーしようと思って置きっぱなしにしてたらそっち出しちゃって」 「間違えるのがいけないんですよ!後できちんと怒られて下さい」 「本当頼むよ!!こんな事菜穂ちゃんにしか頼めないんだよ!月島さんにも見つかると怒られるし…とにかくお願い!右上の日付が去年付の青い書類だからすぐわかると思う!じゃあ頼むね!」
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