猛襲

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ーーー そう言い残し佐伯さんはトイレへと駆け込んで行った 「…ほんっと相変わらず勝手なんだから」 先輩じゃなかったら普通に無視してるわよあんな奴 まあでも体調悪い時まで怒られたくないだろうし仕方ないか 私は手にしたコーヒーを自分のデスクに置き、課長のデスクに目をやった 課長が見てる前だと結局佐伯さん怒られちゃし、課長が席を外した時にしよう そう思い数分が経った時、課長の元に電話が入り課長はそのまま離席した ナイスなタイミング… 今しかない 私は課長のデスクへと歩み寄り、書類を確認した …去年付の青い書類…あ、あった。これね 書類を手にし、シュレッダーの元へと素早く動いた そしてそのままその書類をシュレッダーにかけた …はぁ、世話が焼けるなあ佐伯さん しかもまだ戻って来ないし。だいぶ酷いのかな… 無事断裁し終えた私は、戻り際に佳純の方へと視線を向ける …佳純 ーーー何にも知らないんだね 翔介さんが菜穂を苦しめてたストーカーだということをーーー あの夜のあの言葉が未だに頭から離れない …鳥谷さんにもいずれ話を訊かなければいけない だけど、今の私にはその心構えが無い 正直全てが宙ぶらりんな感じだ… 唯一の友達だったと そう思っていたのに ……私達、もう元には戻れないのかな… 佳純ーーあなたにとってその恋は全てを投げ打ってもいいと思えるほどのものだったの? 私との思い出なんて、それくらい小さなものだったの? 佳純の心の奥が透けて見えればいいのに 今は何を考えているか、全くわからない
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