猛襲

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「花井ー。提出した書類ってどこに置いた?」 数分が経った頃、ふと課長のそんな声が聞こえてきた 「え…課長のデスクの上に置きましたが」 「…ないんだが」 「ええ!?そんなはずありません!私確かに置きました!」 慌てて返事をする佳純の元に、本間さんが駆け寄っている 「……花井、それって何色の書類だった?」 「淡い青色です」 青…? 「……それさっき…」 本間さんは私の方を向き口に手を当てている そして今度は私の方へとやってきた 「…風見、さっき課長のデスクに行ってたよね?その後すぐにシュレッダーの方へ行ってたけど…」 え…っ!? ちょっと待って… 青い書類…!? やっぱり……さっき私がシュレッダーにかけたのって… ど、どういうことよ!佐伯さん! 鼓動が早くなり背中から汗が伝う 周りの皆が私の方を見ている… 「風見…心当たりあるのか?」 課長がそう問い掛けて来る 「…ちょっとすみません!」 私は急いで佳純の元へ歩み寄った 仕事の事だ。話したくないなんて言ってられない 「佳純…もしかすると、その書類シュレッダーかけちゃったかもしれない……ごめん」 「え… 嘘…でしょ…? あれがどれだけ大事なものか分かってるの…!?」 「ごめん…間違えーー」 「私のことが嫌いだからってそれは流石に酷いよ…!!」 私が言いきるより先に、被せるように佳純が言ってきた 「ちょ……待ってよ!わざとじゃないよ!?佐伯さんに頼まれたのよ!課長のデスクの物をシュレッダーにかけるようにって!」 「信じられない…そんなすぐバレる嘘までつくんだ…」 「本当だよ!信じてよ!」 「分かった。じゃあ佐伯さんに聞いてみるから」 ーー怖い…今、目の前で私を冷たい目で見るこの女性は一体誰なの……? 少なくとも私の知ってる佳純は…こんな眼をした事がなかった どうしてこんなに変わってしまったの… 何が貴方をこんな風にしてしまったの… ……ーー呆然と立ち竦む私の視界に、トイレから戻ってきた佐伯さんが飛び込んできて我に帰る 「佐伯さん!!」 「ん?どうしたの?」 「あの、さっき私に課長のデスクの上の青い書類をシュレッダーにかけるように頼まれましたよね?!あれ花井さんのものだったらしいんですけど」 課長と本間さん、そして周囲の人達も佐伯さんの返答に注目している お願い佐伯さん。ちゃんと説明して…じゃないと全部私のせいになっちゃう 「…ちょっと待ってよ菜穂ちゃん…!シュレッダーって何のこと?俺そんな事言った覚えないんだけど!」 佐伯さんのその言葉に、私の全身から血の気が引いていった
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