猛襲

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ーーー 菜穂が去った後の社内は僅かに喧騒を残しながらも、徐々に通常の業務へと戻っていく 「課長、出来ました」 私はすぐに新たな書類を作成して課長に提出した 「仕事が早いな…」 「ありがとうございます」 当たり前ですよ。予め用意していたんですから そして自分のデスクへ戻ろうとした時、横からフラリと影が現れた 「穏やかじゃ無かったようですが…何があったんです?」 …見てたんだ 白々しく笑いながらそう言ったのは春宮さんだった 「少しトラブルがありまして。すみませんが私達の大事な企画書をシュレッダーにかけてしまいました」 「それを風見さんがなさったんですか?一体何故?」 「間違えてしちゃったみたいですよ」 「間違えて?」 春宮さんが妖しく笑う はは、魔女みたい 「私の見たところ、間違えてと言うよりは間違えさせられて…に見えましたが。これ以上の追及は野暮ですのでやめておきますね」 全部お見通しってわけか まあこの人は私の悪意を知ってるんだから当たり前か ……なら 「春宮さん、私は翔介さんの事は諦めました。だから貴方と私が敵対する意味は恐らくもう無いんじゃないですか?」 「敵対だなんて。私は初めからそんなつもりありませんよ」 「会社までやって来てそれはないでしょ。私が貴方に今まで行った非礼はきちんと謝罪しますので、どうか水に流していただけませんか?」 「…一体急にどういうおつもりでしょうか?」 「私が今憎しみを抱いてるのは菜穂だけです。だから菜穂を傷付けて菜穂から全てを奪いたいんです…春宮さんも私に協力してもらえませんか?」 この女は味方につけた方が得策だ 「協力…?私にイジメの片棒を担がせようと?随分、みっともないですね」 「ええ。みっともないのは百も承知ですよ…でも私にはもう何も無い そう…失う物すら だからこういう事しか出来ないんです。私は 弱い人間だから」 「…イジメに加担するつもりは毛頭ありません。私は正々堂々と風見さんと張り合いたいと思っています」 何が正々堂々よ。性悪女が 「ですから条件次第ですね。貴方の意思を汲むかどうかは」 結局はそういう流れになるくせに、いちいち勿体ぶるのやめてほしいな
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