猛襲

11/18
前へ
/549ページ
次へ
ーーー はぁ 憂鬱だ… 肩を落としながら、トボトボと会社へと向かう かつてここまで仕事に行きたくない日があっただろうか… 鋭気に満ちていた新人時代からは考えられないくらいに気が滅入っている 一日経とうが、その辛さは和らぐものではない だけど 偶然とはいえ佳純が必死に作り上げた企画書を破棄してしまったんだから…もう一度きちんと謝らなきゃ 例え許してくれなくても、謝らないと私の気が済まない 「…よし!」 会社の前に着くと、自分に喝を入れるように腹に力を込めて声を出す そのまま勢いよく足を踏み入れた 「おはようございます!」 「おはようございます」 受付の人にも元気よく挨拶する 勢いを保ったままエレベーターに乗り込み、深呼吸する 階層の数字が上っていくにつれ、鼓動が早くなる 大丈夫…だってあんな事があっても、佳純と私は高校からの親友だったんだもん きっと許してくれる そうだ。そう言えば佳純は… 『私、菜穂になら何されても多分最後には許しちゃう』 昔私にそう言ってくれたな… うん… 例え仲が悪くたって その言葉が今も佳純の心の中にあると そう信じるしかない! エレベーターが開く 「おはようございます!」 見渡し張り切って挨拶した私の前に飛び込んだのは 「…ど、どうされましたか」 その場にいた人達ほぼ全員の、まとわりつくような嫌な視線だった 「おはよう風見さん。一晩経って少しは反省した?」 私の近くのデスクに座るお局さん的立場の吉村さんがそう言ってきた 「えっ…まあ反省はしてますけど…」 何でこの人にそんな事言われなきゃいけないんだろう 「はぁ…してますけど?何?何か言いたい事あるわけ?そういうところがね、反省してないって言うのよ」 はぁ? 思わずカチンと来た私は吉村さんに強く言い返す 「あの!何で吉村さんにそんな言い方されなきゃいけないんですか!!昨日の件は私と花井さんの問題なんですけど!」 「……へえ。友達の好きな人とった挙句あんな真似までした癖にそうやって言い返して来れるんだあ?やっぱり神経図太いわねえ」 え…?好きな人?何の話……!? 「意味がわからないです。一体何の話なんですか?」 「とぼけたって無駄よ。知ってるんだから…まあいいわ。あんたみたいな子と話してたら私まで意地悪されそうだし」 嫌味を放ち、振り返り無視しようとする吉村さんに 「ちょっと!まだ話終わってませんけど!」 私は肩を掴み食って掛かった
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加