猛襲

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「そのくらいにしといたら?風見さん」 「…岡本さん…」 後ろから、あまり話をしたことも無い岡本さんが私にそう言ってくる 「自分の立場を悪くするだけだからさあ…これ以上声を荒げるのはよくないと思うわよ…」 「荒げるって何ですか?!私ただ訊いてるだけなんですけど!」 「もう皆知ってるのよ?今回の事は仲間内の事だし私達も騒ぎ立てるのは嫌だから忘れるわ。その代わりこれからはそういう真似はやめるのよ?いい?」 は?何が言いたいのこの人…変なの? 会話が成立してないんだけど… 「あの、言ってる意味がわからないんですが」 「風見さんって案外鈍いのねえ。あのね、貴方が花井さんに嫌がらせするつもりでしたんだって皆知ってるの!これ以上花井さんを傷つけないであげて!」 …佳純? 傷つけるって何?傷つけられてるのは… 私なのにーーー 「佳純が何か言ったんですか?」 「言ってないわよ!見てればわかるわよ!昨日あの後佳純ちゃん泣いてたのよ!」 「菜穂ちゃんさあ、同じ会社の仲間なんだから仲良くしようよ?こんな所で気まずくなったら嫌じゃん?」 「そうそう。それにやるにしたって仕事に関係する嫌がらせとかはやめときなさいって。バレたら自分の首絞めるだけだしさー」 「男絡みはややこしいって聞くけどほんとだね」 「女の嫉妬は怖いからねえ」 周りの人達も横から会話に入ってきて好き勝手に言ってくる ていうか何 この空気… 私…完全にわざとやってるって思われてる… 違うのに…わざとじゃないのに… そんな事絶対しないのに… そんな目で私を見ないでよ!! 「おはようございます」 「あっ!」 「おはよう花井さん」 ちょうどその瞬間、エレベーターから佳純が降りてきた 「何かあったんですか?」 私達を見渡してそう尋ねる佳純に 私は現況を打ち破ってくれる事を佳純に願いながら謝った 「佳純…改めて謝らせて。昨日は本当にごめんね?本当にわざとじゃないから!佳純ならわかってくれるよね?後仕事もさ、私に手伝えることあったら何でもやるから言って!ね!?」 お願い…佳純… この状況から…私を救い出して 「…菜穂… 私も昨日はどうかしてた…ごめんね、ちゃんと分かってるよ」 …え!? 「…佳純…」 佳純は私の手を握って優しく微笑みそう言った やっぱり、佳純は佳純なんだ 私と佳純の仲はこんな事じゃ壊れないんだ 佳純、私も全部許すよ…だからまた前みたいに一緒にーー 「魔が差しちゃったんだよね? だけど咄嗟とはいえ佐伯さんまで巻き込んじゃうのはちょっと可哀想だよ。私により、佐伯さんに謝ってあげて。ね?」
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