215人が本棚に入れています
本棚に追加
「あの人結構…気難しい人だって聞いたことあるから」
だけどそれを私の口から言いたくない
そもそも当の本人が、あの人私のストーカーだからやめたほうがいいよ!なんて言えるわけないじゃない
「菜穂さんって鳥谷さんと知り合いなの?」
「えっ!まあ知ってる事は知ってるけど…何で?」
「だって…菜穂さんみたいな聡明な方が、又聞きした話だけで他人を貶めるわけがないと思ったの」
「それこそ自身の経験談かなとも思えたのだけど」
「…買い被りすぎだよ。私はそんな立派な人間じゃないよ。他人に流されやすいし、すぐに話を鵜呑みにするからさ」
「そうなのかしら」
「そ、そうだよ」
春宮さんの射殺す様な視線を受けながら、辿々しく私は返した
「ふふ…でも私、気難しい方も嫌いじゃないわ。そういう人ほど愛情も深いと聞いた事があるし」
どこでよ…そんなの聞いたことないけど?
「応援はしてくれないけど、反対もしないのよね?」
「まあ私に反対する権利なんてないしね…」
「それじゃ頑張ってもいいってことよね!」
「…う、うん?」
私が返事に迷っていると、春宮さんは手を合わせてご馳走様でしたと小さく呟いた
「時間も余りないので行きましょ!お昼からもお互い頑張りましょう!」
そのまま立ち上がり、伝票を手にしてレジへと向かって行く
「あ、私の分いくら?」
「今日は私に払わせて!次菜穂さんにお願いしてもいい?」
「わかった…ありがとう。次払うね」
私の言葉に、彼女は可愛らしいウインクで答えた
ーーー春宮さんみたいないい人が鳥谷さんに傷付けられるのは許せない
だからその為にも
私はもう一度彼と
きちんと話し合わなくちゃいけないんだ
佳純の言っていた事が本当に全て真実かどうかを
彼自身から聞き出なければならない
最初のコメントを投稿しよう!