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「わかってる…僕が弱かったからだ。もっと僕が人間としてまともだったなら…風見をこんなに傷付けることは無かった!でも、風見に対して裏切りを重ねていたとしても風見への想いに嘘はない!」
「っ…!私がどれだけストーカーに恐怖していたか知らないんでしょ!?毎日怖くて…家にも帰れないくらい怖かったのよ!!そんな目に遭わせておいて何でそんなことが言えるのよ!!本当に歪んでるわよ!!」
「そうだ…
だけどーー
今日でもうそれも終わりにする!!僕は自分の影と向き合って、まともな人間になる!約束するよ!だから!図々しい話だとは分かっているけど…いつかもし君が僕を許してくれる日が来るなら
今度こそ…全てを償わせてほしい
大好きだったよ。風見…」
鳥谷さんの声が震えている
見なくてもわかる。彼は泣いている
もしかしたらーー彼の愛は本物だったのかもしれない
だけどそれは私からすればあまりに歪んでいて
決して受け入れられるものじゃない
彼を許すわけじゃないけれど…心から憎む事はできない
だって私も一度は好きだった人だから
お互いに、10年間何をしていたんだろう
もっと他に生き方はあったかも知れない
こんなにすれ違う道を選ぶこともなかったかも知れない
でもこの世に、もしもはないんだ
今の結果こそが全てなんだ
戻ることの出来ない道を…進むしか出来ない
これからも………
彼の方へ振り返り、私は涙を流しながら笑顔で告げる
「ーー私もずっと好きでした。鳥谷先輩」
最初で最後の告白
過去に置き去りにして来た小さな恋心を口にして、私は再び歩き出した
そう…ただ進むしかない
道は前にしかないんだからーー
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