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「あー!イライラする!マジあいつ殴りたい!!」
「落ち着きなよ杏里。あの女はどうせ企画が終了したらいなくなるんだしさ」
「でもこのままいなくなったらあいつの勝ち逃げみたいになるじゃない!それはそれでムカつく!」
「まあね。なんとかあの女の鼻っ柱折ってやりたいとこだけど」
「お疲れ様です。どうかしたんですか?」
「…花井さん」
休憩室でタバコを吸っている田宮さんと横峯さんに話しかけながら私は自販機でコーヒーを3本買う
「花井さんも可哀想よね。花井さんは被害者なのに、あの子に味方する人間がいるんだから」
「いえ、私はいいんです…それに…やっぱり菜穂は元親友ですし…菜穂に奪われるんだったらもういいかなって思って…」
「花井さん健気すぎっ!大丈夫!私達は花井さんの味方だから!ね!?」
「当然よ!風見春宮コンビなんかに負けてらんないわよ!何かあったら私らに頼りなよ!」
「あの女にもし何かされたら私らに言ってきて!なんとかするから!」
「ありがとうございます!これ良かったら飲んで下さい!」
私はすかさず持っていた缶コーヒーを二人に差し出した
「気が効くわねー花井さん!ったく、男の方も見る目ないわよね!こんなに良い子な花井さんよりあんな顔だけの子を選ぶんだから」
「男なんて結局皆顔さえ良けりゃいいのよ。性格なんて二の次」
「ほんとしょーもないわよねー男って」
…でもそんな男に好かれたいがために必死で自分を飾ってる貴方も同類だと思いますけど
なんてことは口が裂けても言えないな
「では私そろそろ行きますね!お話していただいてありがとうございました!」
「こちらこそコーヒーありがとうね!良かったら今度三人で飲みに行こうよ!」
「いいね!そうしよ!」
「はい!是非お願いします!!」
満面の笑みを見せて、私は休憩室から立ち去った
これであの二人は私の味方についてくれるだろう
徐々に出来つつある、巨大な溝
その中で菜穂はゆっくり孤立していくだろう
今は春宮さんに縋れるけれど
彼女がいなくなったら…ひとりぼっちだよ
「佳純ちゃん!」
…うざい奴が現れた
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