世界

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「佐伯さん。おはようございます」 「あっ!佳純ちゃん!おはよ!どしたの朝から!まさか俺に会いたくなった?何つって!」 朝からテンション高。うざいな… 「ハハ、それより話があるんですけど」 「まさかまた頼み事じゃないよね?ただでさえ貸しがあるの、忘れてないよね?」 「忘れてませんよ。きっちり私のお願いを訊いてくれたら」 私は顔を佐伯さんの耳元へと持っていき囁く 「佐伯さんと付き合いますから」 吐き気を催すくらいに気持ち悪い言葉… 下劣な顔でニヤリと笑う佐伯さんを見て、更に気分は悪くなった 「それを覚えてるならよしとしようか」 ああもう喉元まで逆流してきてるっぽい ここで吐瀉してやろうか 「で、話って何?」 「はい、難しいかも知れないんですが…」 私は自分の計画は伝えず、やって欲しいことだけを簡潔に佐伯さんに伝えた 私の計画を訊いた佐伯さんは蒼ざめた表情で声を漏らす 「いやそれ…まじでヤバいって…!下手すると俺殺されちゃうよ…」 「お願いです。佐伯さんにしか頼れないんですよ」 「いやでも…流石に無理だわ…」 ああ…もどかしいな 無理とか無いんだよ もう今更辞めるなんて出来ないんだよ! …私はゆっくり佐伯さんに近付き 「ちょ、佳純ちゃ…え…!?」 彼の唇に自分の唇を重ねた 「…っ…ん…!」 突然の私のキスに動揺しながら目を泳がせる佐伯さん 私は彼の瞳を真っ直ぐ見据え、少し恥じらいながら彼に言った 「ーーーお願い。康太君」 「……わ、わかったよ!!その代わり!もう一回していいか!?な!?」 「続きは成功したら…康太君の家で…しよ?」 のぼせ上がった佐伯さんはコクコクと頷きながらその場でフリーズしていた 私はその隙に静かにその場を去った 口を服の袖で擦り切れるくらいに拭きまくる …ああ、吐きそう 後で絶対イソジンしよう ーー何にしても、これで舞台は整った 全部私の掌の上 私が一番上に立つんだ 全て私の思い通りに動かして見せる 私は菜穂より上に行くんだ 邪魔する人間はたとえ誰であっても 消してやるーー!!
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