世界

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ーーー 「おい!乃木下!!」 ーー緊迫した空気の中、営業部代表で席にいた俺と古場は状況が飲み込めずに混乱していた 「なんなんだよこの事態は!何で風見があんな事を!」 「…俺が知るわけ無いだろ!それにどう考えてもおかしくないか…?風見が本当にあんな文面打つと思うか?」 「確かに…ハゲやらボケやら…あんな汚ねえ言葉を風見が使うわけがねえ!」 「…古場、もしかしたら風見は誰かに陥れられてるんじゃないか…」 「…誰かって…誰よ?」 「…あっ!」 浮かんでくる顔は、おそらく俺と古場同じだろうな 考えたくはないが、やはりそう思ってしまう あの日、社員食堂で見せたあの冷徹な表情 そして…歪んだ側面 花井… もしかして、君なのか?? 君がこんな悍ましい嫌がらせを…風見に? 「絶対あの女だぜ。そうに違いねえ!後で俺が直接問い質してやる!」 「やめておけよ…憶測で決めつけてもし違ったらどうするんだよ」 「違ったら違ったで構わねえだろ。ごめんで済むじゃねえか」 「単純だな…」 「だけどよ、それよりも今は…風見が心配だ…」 「…ああ」 考えてみれば、こんな大掛かりな真似が一人で出来るわけがない となると風見は複数の人間から虐められてる事になる だけどあの風見が 一体どうしてそんな目に遭うんだ… ーーーーー ーーー… ーー… 「クリスマスコフレのプレゼンの時、風見さんを懲らしめようと思っています」 田宮さんと横峯さんとカフェでランチをしながら、私は切り出した 「…直接的には手を出さないって言ってたよね?何するつもりなの?」 田宮さんが不安げにそう尋ねてきた 「…プレゼン発表の時、企画書が大きなスクリーンに映し出されますよね?」 「ああ、うん。それがどうしたの?」 「あのスクリーンに風見さんの本性を映し出すんです。会社内の皆に見られちゃえば、彼女も流石に少しはおとなしくなると思うんですよね」 「でも何を映すつもりなの?」 今度は横峯さんが尋ねてくる 「風見さんの…メールの内容です。こないだ月島さんから聞いたんですが…風見さん、月島さんとメールしてるらしくて…そのメールが悪口だらけだって月島さんが言ってました」 「はぁ!?なにアイツ!月島君も狙ってんの!?」 「男なら本当誰でもいいんだ。節操なさすぎて引くわね」 「月島さんには申し訳ないですけど、そのメールを何とかしてスクリーンに映し出してやろうと思ってます」 「…まあ、花井さんがやりたいことは分かったけど…それってかなり難しいと思うわよ。何せ発表する企画書は共有ファイルに保存してその管理は課長がするから」 「課長のパソコンをイジらないと難しいわよね」 「…確かにそれは難しいですが、私に少し考えがあります。協力していただけませんか?」 「うーん…協力するのは構わないんだけど、流石に会社をクビになる様なことは勘弁して欲しいかなあ」 「私も何だかんだでここより良い給与の会社ないしクビになるのは困るわ」 少し怖気付いた様子で二人はそう言った
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