世界

19/21
前へ
/549ページ
次へ
ーーー どうにかプレゼンが無事に終え、皆会議室を後にしていく中 「おい。花井」 私の元に、二人の男が歩いて来る この男は、以前社員食堂で会った男だった 営業部の古場 菜穂に振られた憐れな男 「いきなり人を呼び捨てしないでもらえますか?気分悪いので」 「お前の気分なんざどうだっていいんだよ。それより聞かせろ!お前なんだろ?」 「は?」 「お前がさっきのメール捏造したんだろが!正直に白状しろ!!」 「オイ!古場!辞めろ。ごめん花井…さん。こいつ風見の事になると見境無くなるんだ」 同じく営業部の乃木下さん この人は社内でも随一の人格者だと言われている 女性達に人気があるのもわかる気がする 私は好きなタイプじゃないけど 「参考になります。人間片想い拗らせちゃったらそうなるんですね」 「乃木下、こいつマジ一回殴っていいか?」 「ダメに決まってるだろ」 「で!どうなんだよ!!誰かにチクったりなんかしねえから教えろ。お前なんだろ?」 更に詰め寄る古場を手で制止し、乃木下さんが口を開いた 「…不躾で本当に申し訳ない。でも、確かに気になっていたんだ…誰がやったかとか見当ついたりしないかな?」 「……知っていますか?風見さん、企画部でとても嫌われてるんですよ」 「…え?」 「嘘つくなよ!」 「嘘だと思うなら他の方にも聞いてみてください。まあ、女性だけなんですけどね…男性は皆風見さんの事が大好きですから。貴方方の様にね」 「こいつ…マジでっ…!」 「どうして風見が嫌われるんだ?何かしたのか?」 「そうだぜ。風見は人に嫌われるような奴じゃねえだろ!お前がそう仕向けたんじゃねえのか!」 「大半の女性は自分より魅力的な女性に嫉妬するんですよ。そういう生き物なんです」 「そんなつまらねえ嫉妬であんな酷い事出来るのかよ…」 「出来るんですよ」 私の声から滲み出る気迫に二人は一瞬たじろぎ、また質問を投げ返してくる 「花井さんも風見に嫉妬してるのか?以前見た時、君は風見と仲が良い印象を受けたけど」 「私は風見さんの事大好きですよ」 「嘘つくんじゃねえ!」 「貴方は私をどうしても犯人にしたいんですね。何でか知らないですが…あまりに失礼だと思いませんか?名誉毀損で訴えますよ」 「そしたら全部明るみに出てお前が困るだけだろ」 「私は別に何も困りませんけどね」 だって私には もう失うものなんて無いんだから
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加