215人が本棚に入れています
本棚に追加
ーーー
どうにかプレゼンが無事に終え、皆会議室を後にしていく中
「おい。花井」
私の元に、二人の男が歩いて来る
この男は、以前社員食堂で会った男だった
営業部の古場
菜穂に振られた憐れな男
「いきなり人を呼び捨てしないでもらえますか?気分悪いので」
「お前の気分なんざどうだっていいんだよ。それより聞かせろ!お前なんだろ?」
「は?」
「お前がさっきのメール捏造したんだろが!正直に白状しろ!!」
「オイ!古場!辞めろ。ごめん花井…さん。こいつ風見の事になると見境無くなるんだ」
同じく営業部の乃木下さん
この人は社内でも随一の人格者だと言われている
女性達に人気があるのもわかる気がする
私は好きなタイプじゃないけど
「参考になります。人間片想い拗らせちゃったらそうなるんですね」
「乃木下、こいつマジ一回殴っていいか?」
「ダメに決まってるだろ」
「で!どうなんだよ!!誰かにチクったりなんかしねえから教えろ。お前なんだろ?」
更に詰め寄る古場を手で制止し、乃木下さんが口を開いた
「…不躾で本当に申し訳ない。でも、確かに気になっていたんだ…誰がやったかとか見当ついたりしないかな?」
「……知っていますか?風見さん、企画部でとても嫌われてるんですよ」
「…え?」
「嘘つくなよ!」
「嘘だと思うなら他の方にも聞いてみてください。まあ、女性だけなんですけどね…男性は皆風見さんの事が大好きですから。貴方方の様にね」
「こいつ…マジでっ…!」
「どうして風見が嫌われるんだ?何かしたのか?」
「そうだぜ。風見は人に嫌われるような奴じゃねえだろ!お前がそう仕向けたんじゃねえのか!」
「大半の女性は自分より魅力的な女性に嫉妬するんですよ。そういう生き物なんです」
「そんなつまらねえ嫉妬であんな酷い事出来るのかよ…」
「出来るんですよ」
私の声から滲み出る気迫に二人は一瞬たじろぎ、また質問を投げ返してくる
「花井さんも風見に嫉妬してるのか?以前見た時、君は風見と仲が良い印象を受けたけど」
「私は風見さんの事大好きですよ」
「嘘つくんじゃねえ!」
「貴方は私をどうしても犯人にしたいんですね。何でか知らないですが…あまりに失礼だと思いませんか?名誉毀損で訴えますよ」
「そしたら全部明るみに出てお前が困るだけだろ」
「私は別に何も困りませんけどね」
だって私には
もう失うものなんて無いんだから
最初のコメントを投稿しよう!