降雪

1/17
前へ
/549ページ
次へ

降雪

「私に… 会いに??」 「うん…」 「どうして?」 私の問いに翔介さんは気まずそうに俯き、ゆっくり話し始めた 「……佳純がいなくなってからこの数ヶ月、毎晩家に帰る度に佳純の事を思い出してた… …勝手だよな。自分から別れを切り出したのに」 「…私が翔介さんの重荷になってたんだから、悪いのは私だよ」 「違う。全部僕のせいだ!」 「…翔介さん」 駄目だ、泣くのを堪えられない 夢を見てるようだ 翔介さんが私に会いに来てくれただけで胸がいっぱいなのに 毎日私を想ってくれてたなんて…信じられないよ 「…確かにこの胸の中に風見への想いは燻り続けていた だけど 僕が一番大切にしなくちゃいけなかったのは 他でもない佳純だったんだと思い知られたんだ」 「ーーー嬉しい」 「佳純、もう一度僕にチャンスをくれないか?」 「もう一度僕と、付き合って欲しい」 本当…に…? 今本当に翔介さんの口から付き合ってって言われた? …ずっと望んでいた言葉 失ってしまった未来が、また戻って来るの? 私、今…生まれて初めて生きててよかったと思えるよ 「もう二度と、離れたくないよ」 私は翔介さんの胸に飛び込み服をぎゅっと掴んだ 「翔介さん…大好き」 「佳純…ごめんね」 私の頭を撫でながら翔介さんは仄かに笑う もう何もかもどうでもいいよ 過去なんてどうだっていい 貴方さえいれば 私は何もいらないんだから… 愛してる…翔介さん これからは 翔介さんを苦しめるものや悲しめるものは 私が消し去ってみせるよ ーーーーだから まっててね 貴方の為に、私が 今度こそ菜穂を壊すからねーーー
/549ページ

最初のコメントを投稿しよう!

215人が本棚に入れています
本棚に追加