降雪

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ーーーー 「フーフーフフーフーン、フフフーフーフフフーンッ!フフフフッフフフフフッフッフッーン」 ああ…早く会いたいなぁ翔介さん 「……やけに上機嫌ですね」 鼻歌を歌いながら更衣室で着替える私を冷ややかな目で春宮さんが睨みつけていた 「おはようございます春宮さん」 でも今の私には関係ない どんな負の感情すら今は清浄してしまえそうだ 「呑気なものですね。二人の人間を陥れておいて」 「そんな事言って春宮さんも多少は爽快だったんじゃないですか?」 「私がそんなに邪な人間に見えますか?」 めちゃくちゃ見える 「今日お休みらしいですよ。風見さん」 「…それは精神的なダメージのせいですか? それとも会社に休まされたんですか?」 「恐らくは前者でしょう。さっき月島さんの姿を見ましたから」 成る程。流石の菜穂も遂に心が折れちゃったんだね でもまだだよ…もっと苦しんでくれなきゃ 私の居場所を守る為にね… 「…あまり悪辣な真似ばかりされていると、痛いしっぺ返しを食らいますよ?」 妖艶な笑みを浮かべ、私に牽制する春宮さん 「春宮さん」 「…はい」 「今の私、無敵なんですっ」 「……はい?」 「今なら何だって出来そう。こんな万能感に包まれたの生まれて初めて」 「…何やら有頂天になっているようですが、何かありましたか?」 「内緒でーすっ」 「はぁ…まあ、足元を掬われぬよう」 呆れた様子で春宮さんは更衣室を出て行った 「…せいぜい頑張って翔介さんを追いかけてればいい」 翔介さんは私を選んでくれた もう貴方は私のライバルでも何でもないんですよ ただの負け犬…フフ まあしばらくは黙っておこうかな まだ利用価値がありそうだしね さて…と 私は着替えを済ませて気合いを入れた 果たして 月島さんはどう出て来るかなーー
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