黒に染まる

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「おはよう花井さん!」 「おはようございます」 会社に着くと一番初めに田宮さんが声を掛けてきた 「今日あいつが一緒の電車乗っててさ、朝から凄いテンション下がっちゃった」 笑いながらそう話す田宮さんに私は軽く頷いて返事をする あいつというのは勿論菜穂の事だろう 「しかもさあ、あいつ私の顔見て露骨に隣の車両行くんだよ?めっちゃムカつかない?」 「はは、ムカつきますね」 「花井さん!昨日はなんか尻込みしちゃって悪かったけどさ!やっぱりあいつはもっと懲らしめてやらなきゃ駄目だね!礼儀を教えてやらなきゃ!」 あー…そういえば 私が焚き付けたんだった 焚き付けた本人がやる気なくしてるって知ったら…田宮さんなんて言うかな 「花井さんの事だから更にエグいの考えてるんじゃないのー!?」 どんな人間だと思われてるんだろうか まあ…仕方ないけど 「そうですねえ。よく考えないと、今や彼女には優秀なナイトがいますからね」 なんて話していると 丁度のタイミングでその噂のナイトが私達の前を通り過ぎようとしていた 「おはようございます」 出たな、雪村晴希 昨日ははらわた煮え繰り返りそうになったけど 「…おはようございます」 翔介さんとの熱い夜はコイツへの憎しみなんて遥か彼方へ消し飛ばしちゃったんだよね 「作戦会議ですか?もっと人目につかない所でどうぞ」 私と田宮さんにそんな嫌味を吐き捨てながら雪村はスタスタと歩き去っていく 前言撤回… 「な…によアイツううう!!腹立つ腹立つ腹立つ!!風見のやつも腹立つけど、やっぱりそれを庇う奴も同類よね!!」 「だけどあの人。多分知ってるんですよね」 「えっ!?知ってるって…?」 「プレゼンの時の犯人が私だということにです」 「…え?嘘…」 「だから牽制してきたんですよ。昨日のあれは私に対して言ったんです」 「それ、大丈夫なの…??」 「私を泳がせてるのは多分、この件を明るみにしても証拠が出ないからじゃないですかね。次に何かするのを待ってるんですよきっと」 「けどさっきの口振りだと私も疑われてるわよね…」 「…かも知れないです」
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