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『わかった。花井さんが何するにしても手を貸すわ。できることがあるなら言って』
『でも危ない頼み事は勘弁してね。ちょっともう今回ので懲りたから』ーー
「田宮さん、この声は貴方ですよね。今回ので懲りたとはどういう意味でしょうか?」
コイツ…休憩室にこんなものを仕掛けてたのかっーー!
田宮さん…上手く切り抜けて…!
「…ご…
ごめんなさい!!私は嫌だったんですけど、花井さんが…!」
……え??
田宮さん…あんた…
「どういう事なんだ田宮!!」
「私が…私が風見さんとあまり仲が良くないと知った花井さんが、私を誘って来たんです。一緒に風見さんを苦しめようと…」
「私はバレたら怖いからやめようって言ったんですが、花井さんはやめる気配がなくて…そのあまりの迫力に止められませんでした!すみません!!」
「田宮…いや、花井!自分が何をしたか分かっているのか!!」
「ごめん花井さん…私が止めてあげてたらよかったよね…!」
まさか田宮さん…こんなに最低な人間だったとは
ほんと人って信用出来ないな
保身の為なら簡単に他人を切り捨てるんだ
「ということは、嫌がらせの主犯は花井さんだという事ですね?」
「…はい」
田宮さん、多分貴方地獄に落ちますよ
「花井…お前には話す事が沢山ある。とにかく仕事が終わったら第一会議室に来なさい」
「…はい」
「花井さん」
勝ち誇った顔で、雪村がこちらを見ている
「因果応報ですよ」
…嗚呼
漸く、真っ当に生きようと決めていたのに
また私は怨嗟の濁流に呑まれようとしている
翔介さん
私は純白にはなれないみたい
自分というものが
花井佳純という人間が
どういう人間か
漸く理解した
私は憎悪の泥濘の中でしか輝けない
「…このままで済むと思わないで下さい」
「…それはこっちの台詞だ。花井佳純」
黒く染まってゆく
皆…
みんな
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